賃貸マンション・アパートのオーナー様は保険料を惜しんではいけない

 コロナ禍が長期化したことから都区部では賃貸マンション及び賃貸アパートの空室が激増しています。コロナ禍が終息し始めている気配がありますが、最近の急激な円安との相乗効果のためか、景況感は急激に悪化している感があります。繁華街における人出がコロナ禍前に戻ったとは言えない状況であり、 賃貸マンション・アパートの空室がなかなか埋まらない状況です。

 空室が増えていることから、満室で稼働している賃貸アパートおよびマンションは激減しています。言うまでもなくオーナー様の家賃収入は激減しており、事業用ローンの返済がやっとであり物件の維持費を支払えないというオーナー様が増えています。

 このため、設備更新、外壁塗装工事、共用廊下におけるクロスの貼り替えを延期する等の対応をしている物件が増えています。

 不動産会社に対する管理の委託をやめるオーナー様が増え始めています。共用部の清掃をオーナーが自ら行うか、全く行わないことにし、家賃の出納も自分で行うことにより費用を節約するわけです。

 それでも維持費が足りないという意識が強くなると、入居者からの設備の修理依頼およびクレームを無視するようになります。各部屋の湯沸かし器やキッチンのコンロといった比較的少額なものだけではなく、入居者が怪我をする恐れがあるのにオートロックやエレベーターの故障を放置するオーナー様がいらっしゃいます(オートロックについては先日の投稿を参照)。

 さらに資金が逼迫すると保険契約を更新しない、火災および災害に対する損害保険、施設(責任)賠償保険を更新しない等の悪手に出るオーナー様がいらっしゃいます。

 少し考えればわかると思いますが、保険の更新を怠ることは最悪の結果を招くことにつながります。万が一火災による建物の全焼、台風による屋根や窓ガラス等の破損が発生しても、誰も補償してくれないことになります。

  施設(責任)賠償保険を締結しないと、例えば建物の階段が崩落して入居者が死傷した、バルコニーの手すりが外れたことにより入居者が転落して死傷した等の場合に補償を受けることが出来ません。

 賃貸物件において死傷事故が発生した場合、「賃貸借契約を満足に履行していないことから死傷した」としてオーナー様が入居者(またはその遺族)から多額の損害賠償を請求されることがあります。「保険料を節約しなければ良かった」と後悔しても後の祭りです。

 「滅多に起きないことに保険料を支払うことはもったいない」という理由で保険への加入をしない、または更新しないオーナー様がいらっしゃいますが、保険は「滅多に起きない場合に備えるため」に必要なものです。事故は予告なく突然発生し、オーナー様に対し数千万円~1億円以上の損害賠償を請求する裁判が提起されることがありますので、「保険を更新しない」という選択はお勧めしません。