収益用不動産を購入する際の注意点(その8、東京都では路地状敷地に注意)

今日は、自分が所有する土地上にアパートやマンションを新しく建築したい方、新たに土地を購入してアパートや賃貸用マンションを新築したい方向けの内容を書きます。

なお、本日は東京都内の条例に関する説明になります。他の道府県や市区町村では異なる内容の条例を定めていることがありますので、予め御了承願います。

東京都における条例

建設を検討している土地がいわゆる路地状敷地(旗竿地)の場合、共同住宅を建設するために建築確認申請をしても却下される場合があります。

都市計画区域内で居住用の戸建住宅を建設する場合、道路に2m以上接道しなければならないことが定められています。いわゆる路地状敷地(旗竿地)でも、住宅の建設を不可としている用途地域(工業専用地域)ではなく、かつこの接道要件を満たしていれば、戸建住宅を建設できます。

しかし、東京都内では以下の要件を全部満たさないと、共同住宅を路地状敷地上に建設することが認められません。東京都京都建築安全条例第十条の二は、以下の内容を定めています。

・建物の階数が3階以下
・建物の延べ面積が200㎡以下、かつ戸数が12戸以内
・路地状部分の長さが20m以下

なお、延べ面積が200㎡を超える共同住宅を建設する際は、東京都建築安全条例第十条の三により、路地状敷地ではない場合でも、接道しなければならない長さを以下のように定めています。
下表の「特殊建築物」には共同住宅が含まれます。

特殊建築物の用途に供する部分の床面積の合計接道しなければならない長さ
500㎡以下4m
500㎡以上1000㎡以下6m
1000㎡以上2000㎡以下8m
2000㎡を超えるもの10m

以上の東京都建築安全条例を回避する手段として、従来はいわゆる共同部分がない「長屋」の建築がなされていました。しかし、これも令和元年よりかなり厳しく規制されています。接道部分の長さが2mの路地状敷地に長屋を建設する場合、その戸数を10戸以下にしなければなりません。わざわざ「長屋」を建築する意義は薄れていますので御注意ください。

建て替えのは要注意

戸建住宅の場合は、接道要件を完全には満たさない場合でも建築審査会の承認を得ることにより再建築が認められることがあります。しかし、共同住宅を建て替える際は、条例が定める内容を満たさないと再建築が認められないことが大半ですので、ご注意ください。