収益用区分マンションの「実質利回り」について

昨日は、1棟ものの賃貸アパートおよび賃貸マンションの実質利回りについて書きました。

年間の家賃収入(共益費などを含む)を購入価格で割り、パーセント表記に直した数値が「表面利回り」であり、ここから諸経費(固定資産税、都市計画税、損害保険料、維持管理に関する積立金、共用部における消耗品費と電気料金、管理業者に支払う管理費など)を差し引いた金額を購入価格で割り、パーセント表記した値が「実質利回り」であることを説明しました。

収益用区分マンションの場合、管理組合が区分所有者から管理費および修繕積立金を徴収します。この管理費および修繕積立金には、上述した1棟マンションの場合における諸経費の各項目のうち、共有部に関する損害保険料、維持管理に関する積立金、共用部における消耗品費と電気料金、共有部に関する管理費が含まれます。

従って、実質利回りの算出方法は1棟ものの賃貸マンションよりも容易です。つまり、年間の賃料収入から差し引く諸経費は固定資産税、都市計画税、管理組合がオーナーから毎月徴収する管理費および修繕積立金、お部屋の損害保険料、お部屋の管理業者(通常は家賃の出納業務と入居者からのクレーム対応)に支払う管理費の合計になります。

損害保険料について
お部屋の損害保険料は、入居者(賃借人)が支払うはずであると思われる方がいらっしゃると思いますが、入居者(賃借人)が加入する損害保険は入居者の家財に対する補償、および入居者の過失により室内で火災等が発生したことから賃貸借契約の終了時に部屋をオーナーに返すことが不可能になった場合の補償を担保することに主眼が置かれています。

隣接する他の建物から火災が発生して火が燃え移ったことからお部屋が焼失した場合や、自然災害による浸水被害を受けたために清掃および修繕工事費が発生した場合は、入居者(賃借人)が加入している保険だけでは対応が困難です。このため、収益用区分マンションでは、入居者(賃借人)に損害保険に加入していただくだけではなく、オーナーも別の損害保険(区分所有者の資格で加入する保険)に加入する必要があります。

収益用区分マンションを購入する場合は、実質利回りが高いものに限る
1棟ものの賃貸アパートおよび賃貸マンションでは全室が一斉に退去することはまずあり得ないので、空室が発生しても家賃収入がゼロになることはありません。しかし、収益用区分マンションにおける入居者が退去すると、次の入居者が決まるまで、その物件における賃料収入はゼロになります。

収益用区分マンションの方が空室発生時におけるダメージが大きいので、購入する際には実質利回りに注意し、利回りが極端に低い物件の購入は避けることをお勧めします。

現在、都心における1棟ものの賃貸アパートおよび賃貸マンションでは実質利回り4~5.5%をベースに値付けされている物件が多いです。

あくまでも私の個人的な感覚ですが、収益用区分マンションを購入する際は最低でも実質利回りが6.5%以上、可能であれば7%以上の物件を購入することをお勧めします。空室時におけるリスクを考慮すると、この位は欲しいところです。

それ以上の利回りを得られる物件が存在しますが、最寄り駅からの距離が遠い等の理由により、空室になると次の入居者がなかなか決まらない物件であることがよくあります。このあたりは注意が必要です。