東京都23区内は賃貸物件の利回り激減、どうするか

 ご承知の通り、コロナ禍が長期化したことにより収益用不動産に対する人気が高まり、利回りが極端に低下しました。東京都23区内では表面利回り4~5%未満の物件が大半になり、中には2%台の物件が売り出されています。

 事業用ローンを利用して物件を購入した場合は、利息を含めて返済しなければなりません。ところが表面利回りが低いと利益の大半はローンの返済に回り、固定資産税や都市計画税の支払、設備の修繕・更新が非常に困難になることがあります。

 最近、これから新たに収益用不動産を購入する方に対する融資が厳しくなっています。金融機関から、「物件価格の半額しか融資できません。」と言われる事例が増えています。東京都23区内にある3~4億円以上の物件を購入する場合は半分の1.5~2億円以上を自己資金で用意する必要があります。このような巨額の資金を自己資金で用意できる個人投資家はとても少ないと思われます。

 利回りが激減した原因の一つはコロナ禍の長期化により、収益不動産に対する人気が集中したことにあります。飲食店や小売店の経営が出来なくなったことから、資金が1棟マンション・アパートの購入に充てられました。さらに円安が発生したことから外国人が日本の不動産を安く購入できる状況になったことも原因です。

 収益用不動産の購入により得られる賃料収入を売上げとして計上できるようになったものの、利益が少ない状況です。コロナ禍をほぼ脱した状況なので、設備投資資金の調達目的で収益用不動産を売却する動きが生じ始めているようです。

どうするか

 利回りが極端に低い収益用不動産は、いずれは手放す必要があると考えられます。問題になるのは事業用ローンを利用して購入した場合です。あまり安く売ると、残債を支払えなくなります。

 収益用不動産を買い替える際は、ある程度の利回りを得られる物件にすることをお勧めします。東京都23区内の築浅物件は高額であり、利回りを稼げないのでやや郊外にある中古物件をお薦めします。

 価格や利回りだけではなく、物件所在地の人口、発展の可能性、都市計画などを勘案して物件を選択する必要があります。千葉県西部、関西圏の物件の中には利回りが高く、空室率が低い物件が数多くあります。今後、収益用不動産を購入する場合は探索範囲を大きく広げることを強くお勧めします。

 東京都23区内、横浜市の中心部等、繁華街で人口が多いエリアの物件が良さそうに思えますが、利回りが低すぎる物件が多いです。筆者でも相談に対応できますので、必要がある場合はご用命ください。