不動産投資を内容とするソーシャルレンディングには要注意

2021年7月13日

ソーシャルレンディングを手掛ける大手企業が立て続けに廃業、破産
 ソーシャルレンディングを手掛ける会社の廃業および倒産が起きています。原因の一つは賃貸不動産(収益物件、収益用不動産)の実質利回りが急激に低下していることにあると考えられます。

 業界最大手と言われるSBIソーシャルレンディング(株)は、全既存ファンドの償還を条件として廃業を決定したとのことです。

 また、ソーシャルレンディングを日本で最初に始めたmaneo(株)およびmaneoマーケット(株)は、「LCレンディング」の取り扱いを終了しました。そして6月30日付で、東京地裁はmaneoマーケット(株)の関連会社である(株)Cash Flow Financeに対し、破産手続き開始を決定しました。

 ソーシャルレンディングとは、ネットでお金を借りたい人や企業と、ネットでお金を貸したい人や企業とを結びつける、融資の仲介サービスです。10万円未満の少額でも出資が可能であり、年間で5~10%という高利回りを得られるとして多くの出資者を集めています。

 問題なのは「お金を借りたい人や企業」が計画している事業が黒字で運営され、出資金を年間で5~10%という高利回りで返済できるのかという点です。

 通常、資金が必要な人や企業は銀行等の金融機関に打診します。その方が金利が低いからです。このため、金融機関による融資が承認されなかった人や企業がソーシャルレンディングを頼る傾向があることは否めないと考えられます。

ソーシャルレンディングを利用して賃貸不動産経営を行うことは無謀
 多くのソーシャルレンディング事業者は、投資先として賃貸不動産経営を行う事業体を掲げています。前述したmaneo(株)およびmaneoマーケット(株)が行っていた「LCレンディング」とは、収益用不動産(賃貸不動産)を運営する事業体への融資を行うためのソーシャルレンディングです。

 しかし、賃貸不動産経営における実質利回りは、高利回りの物件でも数%程度しか期待できません。東京都区内では表面利回り4~6%、実質利回り2~3%未満の物件が多数になりつつあります。

 原因は「相続税対策になる」、「年金代わりになる」、「老後は2000万円なければ安心して暮らせない」等のキャッチフレーズにより収益用不動産の人気が急上昇し、価格が上昇したためです。

 表面利回りが6%程度の物件でも、実質利回りは3%程度になることが多いです。実質利回りが低い理由は、一定の割合で空室が発生し、さらに建物および設備のメンテナンス費用や固定資産税等が発生するからです。

 実質利回りがかなり低いのにソーシャルレンディングを利用して賃貸不動産事業を行い、年5~10%の利率で返済することは極めて困難(というか無理)です。ソーシャルレンディングによる融資を受けた人や会社は、収益不動産の購入後に遠からず経営が破綻することになります。

 このような状況なので、収益用不動産への投資を内容とするソーシャルレンディングの運営事業体も破綻するのは必然です。

 あくまでも肌感覚ですが、必要資金の約8割を自己資金でまかない、残りの約2割をソーシャルレンディングによる融資でまかなうスキームでなければ、黒字経営にはなりません。

 なお、必要資金の約8割を自己資金でまかなえる場合は、ソーシャルレンディングによる融資を受けなくても金融機関による融資を受けられる可能性が高いです。

まとめ
 賃貸不動産(収益物件)を購入する際にソーシャルレンディングを利用することは無謀なのでお勧めしません。

 また、ソーシャルレンディングに投資する際は投資先に注意し、投資先が賃貸不動産事業(収益物件の運営)である場合は投資を極力避けることをお勧めします。