2024年における不動産動向の振り返り
※本日の投稿は主に東京及びその近郊において該当します。関西、九州、北海道では該当しないエリアがありますので御了承願います。
今年の更新は本日が最後になると思います。最近、更新の間隔が空きがちです。多忙であったことがありますが、最近は不動産に関する目新しい話が少なかったのもその理由です。
今年を振り返ると、お客様から売物件の探索を依頼されても紹介できる物件が異様に少なかった年であるといえます。
筆者の会社は創業してから17年です。その間にはリーマンショック、東日本大震災、消費税率の大幅アップ、新型コロナウイルス感染症の流行などがありました。
これらの事案が発生する度に売物件の数が激減しました。しかし、現在の物件数の少なさと価格の高騰化は異様です。創業以来、売物件の流通量(主に個人向け)がここまで少ないと感じた年はありません。
国内の収益用不動産が値上がり、購入しているのは日本の大企業
それにもかかわらず、不動産の流通量および売上げが増えているという報道があります。多くは国内の収益用不動産が爆買いされたことによるものです。後述しますが個人向け居住用不動産(実需用不動産)の流通量および売上げは低迷しています。
円安をきっかけとして海外の機関投資家が数多く購入しているという報道が多くあります。しかし、実は日本国内の大企業が積極的に収益用不動産を買い上げており、購入金額、物件数のいずれも海外勢を大きく上回っています。
2024年の元旦に能登半島で大地震が発生しました。コロナ禍が長期化したこともあり、国内企業の多くは災害、疫病、戦争によるリスクを懸念するようになりました。懸念されているのは主に南海トラフ大地震、新たな感染症によるパンデミック、中国による台湾侵攻です。
災害、疫病や戦争が発生しても、賃貸用不動産を運営すれば売上げを確保できるとして、猛烈な勢いで買い上げが進みました。国内大企業の爆買いにより物件数が不足し、その結果として物件価格が猛烈に値上がりしました。価格が高騰しても入居者の賃料を上げられないので利回りの低迷が深刻です。土地価格の高騰にも繋がっています。
東京都23区内における収益用不動産の表面利回りは3~6%程度まで落ち込んでいます。特に山手線の内側や城南エリアでは2%台後半~4%台にまで下がっています。コロナ禍になる前は7%~10%の物件が数多くありましたので隔世の感があります。
中古の収益物件はグレードアップ目的の買い換えにより売り出されます。しかし、現状では買い換えた途端に物件の利回りが極端に低くなります。このため、よほどの事情がない限りオーナーは買い換えを断念することになります。買い換え需要が少なくなったことから都心では中古の1棟マンションやアパートが売り出されることが非常に少なくなっています。このことが中古収益用不動産の売物件が不足している主な原因です。
個人の住宅(実需用)不動産も品薄、中古マンションは値上がり
現在、新築マンションの建設が停滞しています。ご承知の通り、コロナ禍により資材価格が急騰しました。災害や疫病、戦争が発生した場合はさらに上昇する恐れがあるとして、多くのゼネコンが建設を受注しなくなっています。
新築の区分マンションを購入したくても物件が少ないので、物件を直ぐに購入したい場合は中古区分マンションを購入するしかありません。このため、中古区分マンションの人気が上昇し、強めの価格設定がされるようになりました。
中古区分マンションを賃貸目的で購入する方が増えています。購入するのは主に外国の方です。現在、円安なのでお買い得感が強く、駅近の物件を外国人が積極的に購入しています。これらの理由により、中古マンションの価格が上昇しています。
中古マンションに長年居住した方が買い換えたくても物件価格の高騰により買い換えを断念する方が増えています。このことも売物件の数を少なくしている原因です。
売物件が少ない ⇒ 価格が高騰 ⇒ 買い換え需要の激減 ⇒ 売物件の数が更に低迷
というパターンに陥っています。
新築戸建住宅も価格が上昇していますが、主に資材価格の高騰によるものと考えられます。
今後も不動産の高騰化が続くか
これをよく尋ねられるのですが、正直申し上げるとわかりません。アメリカ、トランプ大統領の就任により円安が是正される可能性がありますが、日本製品に対する関税がかけられると輸出が難しくなります。
大規模災害、パンデミック、戦争の懸念もあり、予測不能と言えます。
※読者の皆様におかれては、良いお年をお迎えください。
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