フラット35は、収益用不動産の購入に利用できません。

 自身が居住する住宅を購入する際には低金利であるし、返済期間を最大で35年間に設定出来ることから毎月の返済額を抑えられるとして、住宅金融支援公庫のフラット35を利用する方が多いです。

 フラット35は、あくまでも自身が居住する目的の不動産を購入する際に利用できるのであり、第三者に貸し出すことを目的とした不動産の購入には利用できません。

 ところが、悪徳な不動産会社や不動産ブローカーから収益用区分マンション(1Kが多い)の購入を勧められ、その際にフラット35を利用した融資を受ける若者が増えています。

 フラット35を利用して収益用区分マンションを購入したことが判明した場合、住宅金融支援機構は「期限の利益の喪失」を宣言し、融資した金額の一括返済を求めます。

 購入した収益用区分マンションを売却しても、ほとんどの場合に購入した価格が売却価格を大きく上回っていることから多額の借金が残ります。この借金を返済できなければ自己破産を迫られることになります。

フラット35を利用した収益用不動産の購入があまりにも多いことから審査が厳格化

ダイヤモンド研究所(週刊ダイヤモンド)の記事から引用します。

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独身男性、1K、頭金なし」は不動産投資ができない!?
フラット35が不正利用摘発で審査を厳格化

2022年3月7日公開(2022年3月7日更新)
福崎剛

住宅ローン「フラット35」を使って不動産投資をする不正利用事件が2018年頃から次々と発覚したことで、住宅金融支援機構がチェック体制を強化している。不正利用を徹底して取り締まるため、最近は不動産投資が疑われる物件については訪問調査をおこまで行っているほか、事前審査も厳しくなっている。(フリージャーナリスト:福崎剛)

~略~

 住宅金融支援機構は、居住確認のために現地まで調査しに来ることがあると説明している。当然、居住確認をすれば、賃貸に出していることはすぐにバレるだろう。

 不正利用が発覚した場合、住宅ローン残額を一括返済しなければならない。多くは不正を行うことでフルローン状態となっており、そんな人は一括返済できるはずもない。売却して利益が出ればいいのだが、大抵は悪質な業者に高値づかみさせられているので、売却しようとしても負債が残る状態だ。不動産投資用ローンに借り換えるか、親戚から借りることができればラッキーだ。それがかなわなければ、競売して負債を抱えるか、最悪は自己破産に至ることになる。

 住宅支援機構の2019年の調査で、162件の不正利用が判明。不正利用者は一括返済を迫られる事態になり、大きな負債を抱え自己破産者まで出している。さらに取扱金融機関にも厳しい指導を行い、損害賠償請求をする構えを見せている。

~略~

フラット35の審査基準が厳格化
 フラット35の不正利用が次々判明した結果、住宅金融支援機構ではフラット35を取り扱う金融機関に強い指導をして、不正防止を強化している。不正利用の審査を受け付けた金融機関に対しては損害賠償責任を問うという厳しい姿勢だ。そのため、フラット35を取り扱う各金融機関では、独自の審査基準を設けて厳しくしているという。

「金融機関によって内規のルールを設定しているようです。例えば、独身男性で1Kなどの物件購入は怪しいとされます。特に、頭金もなくフルローンで申し込むケースは、さらに怪しいと見なされます」(住宅ローンに詳しいFP)

 一部の金融機関が独自に内規ルールを用いることで、投資用物件の購入に不正利用しにくくなっている。特に「独身男性」、「1K」、「頭金なし」の三拍子がそろうと、不動産投資の可能性があるとみなされて厳しくチェックされるという。

 また、中古マンション購入の場合などは、過去に賃貸用として利用されていないかもチェックされる。分譲マンションで賃貸用物件が多いマンションについても、投資用物件の購入と判断されやすいため、審査は通りにくくなる。

「将来を考えてマイホームを購入しようと思ったとしても、50㎡前後の1Kだと投資用だろうと疑われます。結婚して子どもが生まれる可能性も考えれば、2LDK以上を検討するのが自然というロジックです。最近は、購入理由をかなり突っ込んで聞かれます。仮に結婚予定ですと言ったとしても金融機関側は、『婚約者の書類を出してくれ』とか、『一緒に債務者になることが前提となります』というところもあります」(住宅ローンに詳しいFP)

~以下略~

ダイヤモンド不動産研究所(週刊ダイヤモンド)

 今後は単身者の男性が1Kの区分マンションをフルローンで購入するケースに対し、フラット35を利用した融資が否認されることが多くなります。

 様々な会社が「節税」や「老後の年金代わり」を謳い文句にしたセミナーを開催しています。このようなセミナーに参加し、そこで「不動産投資」を紹介され、収益用区分マンションなどの収益用不動産を言われるままに購入してしまうパターンが多いと思われます。

 しかし、セミナー等で「不動産投資」を紹介されても言われるままに「収益用不動産」を購入するのではなく、御自身で賃貸経営に関する書籍を購入して熟読し、十分に理解してから購入することをお勧めします。不動産投資、および収益用不動産は奥が深く、ネット上に拡散されている情報だけで理解できる程、生やさしいものではありません。

 セミナー開催者やセミナー会場で紹介された不動産会社等から「賃貸住宅経営や収益用不動産について何も知らなくても、我々に任せていただいて大丈夫です。」等と言われたら要注意です。いわゆる「カモ」にされる恐れがあります。

 収益用不動産を購入する方は「消費者」とはみなされず、「事業者」と見做されます。このため、フラット35の不正利用を不動産会社から勧められ、言われるままに購入した場合でも消費者保護法による保護を受けることはできません。発覚した際には容赦なく一括返済を求められますし、状況により詐欺罪で告訴されることがあります。

 収益用不動産を購入する際は不動産売買の専門店、できれば収益用不動産売買の専門店を利用する事をお勧めします。

 賃貸物件の管理を専門とする不動産会社、駅前の賃貸仲介専門店では収益用不動産に関する売買情報を十分に持ち合わせていないことが多く、収益用不動産の売買を一度も行ったことがないところが多いのでお勧めしません。

 「大手の不動産会社であれば安心である」と考える方がとても多いのですが、収益用不動産の売買に関する経験が全くない者が担当者になることがあります。それに大手の不動産会社では「最初に応対した者が最後まで担当者」というルールを定めている会社がほとんどです。収益用不動産に無知な営業担当が自分の担当者になっても、担当者を変えてもらうことは容易ではありません。

 収益用不動産に関する売買情報は会社の垣根を越えて営業担当者間で秘密にやりとりされています。大手の不動産会社であれば情報を多く持っているということはありません。

 また、楽待や健美家などの収益用不動産に関するポータルサイトで公開されている物件は、流通している物件のごく一部です。

 繰り返しますが、 収益用不動産の購入は不動産売買の専門店、できれば収益用不動産売買の専門店の利用をお勧めします。