東京都の目黒区における家賃が高い理由

 東京の城南地区(目黒区、世田谷区南部、品川区、大田区)は、東京都23区にある山手線の外側にある各区の中でも家賃が高いことで知られています。その中でも、筆者の会社所在地である目黒区は家賃が最も高額です。駅近にある専有面積40㎡のワンルームまたは1Kの部屋の中には賃料20万円を超えるものが数多くあります。

 目黒区においてそこそこ快適な単身者向けワンルームまたは1Kの月賃料は10万円前後です。目黒区内から東急線の横浜方面に15~20分程度乗車すると川崎市になります。目黒区内で月賃料10万円のワンルーム(または1K)とほぼ同じグレードのお部屋が、川崎市(新丸子、元住吉周辺)では月賃料6~7万円程度で借りられます。

 目黒区内の賃貸物件における空室率は東京都内において最悪に近いです。ホームズ(LIFULL HOME’S)のWEBサイトによると千代田区が1位の36.5%であり、目黒区が2位の28.5%という状況です。

 空室率が極めて高い理由は家賃が高額であるからです。なぜ家賃がここまで高額なのかをよく質問されますが、以下の理由によるものと考えられます。

目黒区内の賃貸物件における家賃が高額である理由

1.目黒川周辺を除き、目黒区の住宅街における標高は概ね20~40mである。東京都23区内東部には海抜ゼロメートルのエリアが広がっている。これらのエリアは大型台風等による集中豪雨が発生した際に川が氾濫して浸水する恐れがあるとされているが、目黒区は目黒川周辺を除き浸水する恐れが少ない。

2.駅近および大通りの一部を除き、建物の絶対高さが17mに制限されている。このため、高層ビルや高層マンションが少ない。

3.多くのエリアにおいて条例により最低敷地面積60㎡とされており、ミニ住宅の建設が認められないために住環境が良好である。

4.東急東横線および目黒線だけではなく運行本数が多いバス路線があり、都心へのアクセスが容易である。

 目黒区は家賃が高額なので収益用不動産の運営に適していると思われがちですが、目黒区内の物件は空室率が高いので注意が必要です。

 ご承知の通り、収益用不動産の人気が急上昇したことから引き合いが増えていますが、目黒区内で売られている1棟アパートおよび1棟マンションの数はとても少ないです。

 運用利回りの急激な低下による買い替え需要の激減が原因の一つです。その他に目黒区の物件における特性として空室率が高いことから購入希望者がなかなか現れず、さらに利回りから算定される価格(収益還元法)よりも更地価格(積算法)の方が高額であることがあり、更地での売却をされるオーナー様が多いことも原因として挙げられます。

 特に築古で空室率が高い物件では入居者に退去してもらい、住宅用地として売却する事案が増えています。