東京の収益用不動産を売る場合、海外の投資家への売却も検討の余地あり

 このブログでは繰り返し述べていますが、特に東京都区内における収益用不動産(賃貸用1棟マンション、アパート)の利回りは極めて低いです。表面利回り3~5%の物件が激増しています。このため、買い替え需要を喚起できない状態になっています。

 コロナ禍になる前における収益用不動産の利回り(表面)は概ね7~10%前後でした。この利回りを得られる物件のオーナー様が東京23区内の物件に買い替えると、利回りが3~5%程度になります。物件を買い替えた途端に賃料収入が激減することから、買い替えは困難です。

 利回りがここまで低くなると、事業用ローンが成立しません。あまりにも利回りが低いので利息を返済しただけで収益の大半を消費してしまいます。

 このような物件に融資する金融機関はありません。万が一、融資に応じる金融機関があっても喜ぶべきではありません。自分の成績のみを考えている担当者に騙されているとしか思えないからです。何年か後に必ず全財産を失います。

 収益用不動産の運営をこれから始める方が事業用ローンを利用して東京都区内の収益用不動産を購入することはとても困難です。また、東京都区内にある収益用不動産の売却はかなり難しいと言えます。

 なお、売却がかなり難しいのは日本人の投資家に売却することを考えるからです。通常、不動産会社に物件の売却を依頼すると、会社の垣根を越えた営業担当者同士の繋がりの中で売却先を探します。それでも売却先が見つからない場合はレインズや国内のポータルサイトに掲載します。国内で売却する場合は、このような売却方法が執られます。

 しかし、前述したとおり特に東京都23区内の物件における利回りが極限まで低下しています。このため、日本人に売却することのみを考えると何ヶ月、場合により何年も売却出来ない状況になります。

 筆者の会社では海外の投資家に売却することも含めて検討しています。円安であることもあり、海外の投資家による日本の収益用不動産に対する購入意欲はかなり大きいです。

 収益用不動産の売却依頼があった場合は、最適な方法を検討させていただいています。

 「外国人に土地を売るな。不動産を売るな。」と声高に主張する方がいます。しかし、現在はコロナ禍が終息したばかりです。街中における人流がコロナ禍前の状況に戻ったとは言えない状況です。政府や地方自治体による給付金は不十分であり、大半の企業が赤字経営に陥っています。

 金融機関から緊急融資を受けた企業が数多くあります。ところが融資期間を経過したことから資金の返済を求められています。このことに起因する破産および倒産が急激に増え始めています。

 破産や倒産を避けるためにどうしても手持ちの不動産、特に収益用不動産を現金化したい場合があります。このような場合に売却出来ないと破産または倒産に追い込まれます。不動産の所有者が企業の場合は多くの従業員が解雇されることにつながります。

 それに「外国人に不動産を売らない。」を徹底すると諸外国から報復を受け、日本企業が海外に事業所や工場を設けられなくなります。つまり、日本企業の海外における事業活動に大きな支障が生じます。

 なお、自衛隊基地の近く、水源地、観光地等については条例等で外国人による購入を制限すれば良いと考えます。