東京都区内にある収益用不動産に融資がつきにくい

 前回における投稿の中で、東京都区内の収益用不動産では利回りが低いことから購入時に融資が成立しにいことについて触れました。今日は、このことについて少し掘り下げて書きます。

 先日、東京都内で営業している1棟ものの中古賃貸マンションやアパートの買取業者から「頼みがあります。助けてください。」と言われました。「東京都23区内、特に城南・城西エリアに多くの売れ残り物件があり、困っています。購入希望者を早急に見つけてください。」と言います。

 この買取業者は、コロナ禍の長期化により収益用不動産に対する人気が急上昇したことから収益用不動産を数多く購入しました。リフォーム後に転売することを計画していましたが、物件を売却できないとのことです。このまま現金化できないと、会社が倒産しかねないとのことです。

 売れない理由は、事業用ローンの成立要件が厳しくなったことにあります。利回りが極限まで低下しているため、購入金額の全額に対する事業用ローンは否認されることが増えています。

 東京都23区内、特に城南・城西エリアで収益用不動産を購入する場合、金融機関から「購入金額の半額のみを融資します。残りは自己資金にてお願いします。」等と言われることが多くなっています。

 確かに表面利回り3~4%にの物件において購入金額の全額について融資を受けると家賃収入の全額がローンの返済で消えます。購入金額の全額について融資を受けるとマイナス収支になります。

 城南や城西エリアにおける1棟ものの収益用不動産(個人投資家向け)の価格は、2億円を超えるものが大半です。数多くある物件の中から探す場合は3~4億円超の予算を見込む必要があります。「半額を自己資金で用意してください。」と言われても、用意できない方が大半であると思われます。

 これでは購入できる方が極めて限られます。かなりの資金力がある方でないと、東京都23区内、特に城南・城西エリアにおいて賃貸住宅を運営することは難しいです。

 今後は、賃貸用区分マンション、郊外の戸建住宅、大阪・名古屋・福岡等の1棟ものに対する需要が増えそうな感があります。