東京都の新築一戸建住宅に太陽光発電パネルの設置を義務化へ

東京新聞のWEBサイト記事から引用しましす。

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東京都、新築一戸建てに太陽光発電パネルの設置義務化 全国初、年度内にも条例制定へ
2022年5月12日 06時00分

 地球温暖化につながる温室効果ガスの排出削減に向け、東京都の有識者検討会は11日、一戸建て住宅を含む新築建物に太陽光発電のパネルの設置を義務付けるよう提言する答申案をまとめた。二酸化炭素を出さない電気自動車などゼロエミッション車(ZEV)の充電設備の設置義務化も求めた。月内に正式に取りまとめる。都はパブリックコメントなどを経て関係条例の改正案をまとめ、2022年度中の成立を目指す。

 都によると、一戸建てへの太陽光パネル設置やZEVの充電設備を義務付ける条例が成立すれば、全国で初めて。
 太陽光パネルの設置費などが上乗せされると、住宅価格の値上がりにつながることから、群馬県や京都府の同種条例では一戸建てを対象外とし、政府が国会に提出中の建築物省エネ法改正案でも設置義務化は見送った。しかし、小池百合子知事は30年に温室効果ガスの排出量を「00年比で半分」にするという、国の目標を上回る目標を掲げており、一戸建てへの義務化が不可欠としている。

 答申案によると、一戸建てを含む延べ床面積2000平方メートル未満の中小規模の建物では、建物の購入者ではなく、大手住宅メーカー約50社(中小規模の建物供給量が都内で年間2万平方メートル以上)に設置義務を課す。

 太陽光パネルは日照条件を考慮して販売数の85%程度を想定し、都内で年間に販売される新築住宅の5割強となる2万3000戸程度が対象となる見通し。断熱や省エネ性能の国基準以上の確保や、ZEVの導入促進に向けて、住宅や集合住宅の駐車場に充電設備や配線を備えさせる。2000平方メートル以上の大規模マンションやビルなどの建物でも、パネル設置などを義務付ける。
 都は住宅メーカーなどに報告を求め、基準未達成の場合は指導し、改善がなければ業者名を公表して実効性確保を図る。(鷲野史彦)

東京新聞

 これは都知事が建築業者や不動産業界からの意見を訊かず、一部の方の意見のみを参考にして強引に決めようとしているとしか思えません。「温室効果ガスの排出量を削減する」と言えば都民は従うと思っているのでしょうが、都民にとっては百害あって一利なしの大愚策であると言えます。

 後述しますが、「真の目的」が他にあるのかもしれません。 

 ご承知の通り、太陽光発電は太陽光が当たらなければ発電できません。東京、特に都区内では住宅が密集しており、空中には電線が張り巡らされています。また、屋根が隣の建物の影になるところが多いです。特に商業地域では日中のほとんどの時間帯において日陰になる建物が数多くあります。戸建住宅に太陽光発電パネルを設置しても発電効率がそれほど上がるとは思えません。

 それに電力会社による電気の買い取り価格(売電価格)は低く抑えられています。設置コストが高いのに見返りが少ない状況です。

 毎年、日本には台風が数多く襲来します。暴風によるパネルの損壊、屋根の損壊による雨漏りが発生した場合は太陽電池パネルを一旦取り外して作業を行い、再び設置する作業が必要です。クレーン車を手配して高所作業を行う必要があることから、多額の費用が発生します。屋根に設置した太陽光発電パネルの維持コストは莫大です。

 さらに問題なのは太陽電池パネルには寿命があり、年月を経る毎に発電効率が落ちることです。機器の故障、漏電の危険などが生じることから、通常は15~25年毎にパネルおよび機器の交換が必要になります。 

 太陽電池パネルは重金属およびガラスの塊であり、これを廃棄物として処理する際に発生する有害物質についてはどのようにするつもりなのでしょうか。

 都内の戸建住宅に太陽電池パネルの設置を義務づけると重金属を含む廃棄物の処理がパンクすることが懸念されます。問題なのは、太陽電池パネルのリサイクル技術が完成していないことです。ガラス、電線、金属部品はある程度リサイクルできると思われますが、重金属を含むパネル本体や変圧器等の機器類は埋め立て処理するしかないと思われます。有害物質および重金属を含む大量の産業廃棄物をどこに埋め立てるのでしょうか。

 産業廃棄物を外国に輸出して処理してもらうことは期待できません。既に中国およびフィリピンは日本が排出する産業廃棄物の引き受けを拒否しています。他国に処理してもらうことは極めて困難です。

 住宅の建設コストは大幅にアップします。アップする金額はパネルの大きさによりますが、数百万円~1千万円超になると思われます。

これではパワービルダー潰し 

 当面は、大手住宅メーカー約50社(中小規模の建物供給量が都内で年間2万平方メートル以上)に設置義務を課すとのことなので、住宅建設を街中にある中小零細の工務店に発注するのであればパネルの設置義務が免除されるとのことです。これに対し、パワービルダーが建築する住宅にはパネルの設置が義務化されるようです。

 これではパワービルダーによる建物建築を抑制することに「真の目的」があると思われても仕方ないのではないかと思います。建設業者がパワービルダーの場合に限定して太陽光発電パネルの設置を義務付けるとされているからです。