土地権利が借地権である戸建住宅の購入は要注意

 土地の権利が借地権である戸建住宅は安く購入できるので相応の需要があります。土地の価額は所有権としての価額の6~8割(エリアにより異なります)です。固定資産税および都市計画税は地主が負担します。借地人が支払う必要はありません。このため、利回りの良好な収益用不動産として購入することを考える方がいらっしゃると思います。

 しかし、売り出されている戸建住宅のほとんどは自己居住用です。購入者自身が居住することを予定しており、第三者に貸し出すことは想定していないことが多いです。

 土地権利が借地権である建物を収益用途に転用する際は、以下のいずれかを求められることが大半です。

●地主に用途変更を認めてもらう代わりに地主に承諾料を支払う。
●現在の借地権を合意解約し、第三者に対する建物の賃貸を認める内容で土地賃貸借契約を再契約する。

 後段に記述した借地権の合意解約および再契約が必要になると多額の費用が発生します。

 例えば借地権割合が7割のエリアで合意解約する場合、地主は借地人に対し土地価額の約5割に相当する金額しか支払いません。現行の借地権を合意解約する理由は借地人の事情によると解されるからです。そして事業用に利用することを認めるかわりに地代および更新料が高額な土地賃貸借契約の再契約を求められます。

 この場合、最低でも土地の実勢価格の2割(7-5=2)に相当する金額を借地人は地主に支払うことになります。都心で土地価格が坪300万円、土地面積20坪の場合、借主は1,200万円(300(万円)×20(坪)×0.2=1,200(万円))を地主から請求されます。もちろん、地代及び更新料も高額になります。

 高利回りを期待して借地権付きの戸建住宅を購入しても、後から高額な費用を請求されることがあります。地代も値上がりするので、利回りは大きく低下します。

 また、建物の再建築、大規模リフォーム、物件の売却等の際は地主から承諾料の支払いを求められます。収益用途で戸建住宅を購入する際は、土地賃貸借契約の内容に注意が必要です。

 土地賃貸借契約が自己居住用建物の保有しか認めていな場合は、収益事業を開始するのに必要な内容を確認しておく必要があります。

 地主に内緒で建物を第三者に貸した場合、地主に知られると借地権を取り消されることがあります。多額の財産を失うことに繋がるので要注意です。