不動産売買を法人で行うと節税になる

 不動産を売却したことから利益が出た場合、利益に税金が課されることはご承知のことと思います。問題は、個人で行うと他の所得との合算集計が認められない、いわゆる「分離課税」により課税されることです。さらに不動産を短期間で譲渡した場合の税率がかなり高いことも問題としてあげられます。

 ちなみに、個人が所有する不動産を5年以下の短期で譲渡した場合の税率は39.63%、5年以上が経過してから譲渡した場合の税率は20.315%です。この税率は、あくまでも個人が所有する不動産を譲渡した場合に適用されます。

 所有者が法人の場合は当該法人における他の収入および支出と合算して集計し、利益が出た場合は法人所得税および法人事業税として支払うことになります。法人の場合、所有する不動産を売却したことによる利益を分離課税により徴収されることはありません。

 近い将来において売却することを前提として不動産を購入する場合、または転売目的で不動産を購入する場合は個人で行うよりも法人で行う方が断然有利です。

 賃貸住宅の運営を行う場合、物件を将来に売却することを全く考えなければ不動産を個人で購入し、運営しても不利になることを認識できないと思います。しかし、資産の組み替えなどの理由により売却を考える場合は、法人で行う方が断然有利です。

不動産売買を生業とする不動産店を立ち上げる場合

 主な生業を不動産売買、または不動産売買仲介として営業活動を展開する場合は「法人」として活動することにより大幅な節税を図れます。

 不動産売買仲介を行うのであれば法人でなくても構わないように思われますが、お客様の中には不動産を換金することについて緊急性を有する方がいらっしゃいます。かなり稀ですが、「誰かが即時に不動産を買い取らなければ自己破産に追い込まれる」という方が目の前に現れることがあります。

 手持ちの現金がどれだけあるかが鍵になりますが、この場合はその不動産を買い取り、転売することにより大きな利益を得られることがあります。このような場合、不動産店を個人事業主として開業していると転売益の39.63%を分離課税で徴収されます。しかし、法人であれば他の収入と合算して集計されますので節税に繋がります。

 不動産店を新たに立ち上げる際において、将来において不動産売買を行う事が想定されるのであれば迷わず「法人」として不動産会社を立ち上げることをお勧めします。現在、東京都23区内における不動産店の大半は「法人」として営業活動を行っています。