ウクライナ情勢の悪化により原油価格が急騰。不動産価格はどうなるか

 各種報道によりご承知のことと思いますが、ウクライナ情勢が急激に悪化しており、戦争の長期化が懸念されています。

 ロシアがウクライナに侵攻したことにより、西側諸国はロシアに対する金融制裁を行うことになりました。そればかりか、今後はロシアが生産するあらゆるものに対する輸入禁止措置が執られることになると思われます。

 現在、ロシアの原油生産量は世界第二位であり、サウジアラビアを抜いています。ちなみに一位はアメリカです。このため、原油価格が急騰しています。ウクライナ侵攻前における原油価格は1バレル当たり約90ドルでしたが、現在は約120ドルに上昇しています。30%以上の急騰であり、これでは日本国内のあらゆる産業に悪影響を及ぼします。

 この原油価格の急騰が一時的なものであれば良いのですが、困ったことに戦争が長期化する恐れが高くなっています。

影響その1:住宅建設に必要な部材の価格が急騰する

 原油価格が上昇すると鉄鋼、ガラス、金属製品、プラスチック製品、その他の価格が上昇します。これらは石油が形を変えたものであると言っても過言ではありません。このため、新築の建売住宅や新築の賃貸アパート・マンションの引渡し価格は上昇します。

 既存の住宅にリフォームを行う際に必要となる壁クロス材、塗料等の価格も値上がりが避けられません。

影響その2:株価の急落により日本企業の経営が悪化する

 日経平均株価が急落しています。昨年9月には3万円を超える日があったにもかかわらず、現在は2万5千円前後で推移しています。株価が下落すると、企業の資金調達が困難になります。

 株を担保として金融機関から運転資金の融資を受けている会社では追加の担保を差し入れるか、融資済の資金を返済するように求められますので、経営状態が悪化します。

 必然的に、従業員の解雇や賃金カットを行う企業が増加します。また、一つの企業における経営状態が悪化し、手形が不渡りになると、取引先の企業が倒産する原因になります。

影響3:不動産価格への影響

 企業の従業員が解雇される、または賃金カットをされると個人消費が伸び悩みます。住宅に対する購入意欲もなくなります。住宅ローンが成立しにくくなることから住宅に対する需要が低下します。

 このため、土地の価格は大半のエリアにおいて緩やかに下がることが想定されます。ただし、都心の一等地、特に山手線の沿線や内側にあるマンション用地等は稀少なので価格は下がらないと思われます。

 前述しましたが、新築の建物における価格は大きく上昇することが避けられません。現時点ではどの程度値上がりするかについては全く見通せません。全てウクライナ情勢にかかっています。

 明確に言えることは、購入を検討する際の予算を増額する必要があることです。