東京都区内で満室稼働中のマンション・アパートは少数

現在、東京都内における賃貸物件は供給過剰

 東京都内の賃貸物件における空室率は、ホームズのWEBサイトによると大半のエリアで10%を超えています。ワースト3は千代田区36.5%、目黒区28.2%、中央区27.7%です。主に単身者向けの1Rや1Kの部屋が供給過剰になっています。

 都内における他の大半のエリアにおいて、空室率は10%を超えています。平均は約14%です。

 賃貸物件のオーナー様から「満室にしたい」との相談をいただくことがあります。筆者の会社が目黒区にあることから、主に目黒区内にある賃貸物件を満室にする方法を訊かれます。しかし、目黒区における空室率が28.2%にまで上昇していることから、満室にすることは極めて困難です。

 目黒区における空室率が高い理由の一つは家賃相場が高額であるからです。山手線の外側にある区の中で、最も家賃が高額な区です(山手線の外側と内側との両方にまたがる区は、内側にある区と見做します)。

 家賃が高額な理由は土地の評価価格が異様に高く、固定資産税が高額であることによります。家賃を高く設定しないとオーナー様が固定資産税を支払えません。このため、どうしても家賃は高額に設定されます。

 ご承知の通り、コロナ禍が3年も続きました。目黒区に限らず、都心にある多くの企業(特に飲食店)が廃業または倒産し、主に若い単身者が解雇されました。解雇されたために高額な家賃を支払えなくなり、東京都内の賃貸物件を退去した方が数多くいらっしゃいます。

 それにもかかわらず、都内では新築の賃貸物件が数多く建設されました。飲食店や物販店の経営に見切りをつけた経営者が新築の1棟ものの賃貸マンションやアパートを数多く求めたからです。

 若い単身者の一斉解雇、および新築の賃貸マンション・アパートの急増による供給過剰が空室率を急上昇させた原因です。つまり社会環境の激変が原因です。

満室にするためには

 「このままではマイナス収支になる。管理会社を変えて満室にしたい。」、「入居者を早く決めるために有効な広告宣伝の方法を教えて欲しい。」、「リフォームをすれば満室に出来るのではないか。アドバイスを欲しい。」等の相談があります。しかし、前述したように満室にならない原因は社会環境の激変です。管理会社の変更、広告宣伝、リフォーム等では満室になりません。また、オーナー様や不動産会社の努力では対応出来ません。

 残念ながら、東京都内における賃貸住宅に対する需要が増えないと、満室にすることは困難と思われます。社会活動がコロナ禍以前のレベルに戻り、若い単身者が都内に戻れば賃貸住宅に対する需要が増えると一応は考えられます。

 しかし、都内に戻る方は少ないです。コロナ禍のために勤め先を解雇された方の多くは既に都内のマンションやアパートから退去して帰郷、または転職しました。飲食業以外の業種に就いた方も多いです。

 現在、都内の企業、主に飲食店は空前の人手不足で悩んでいます。コロナ禍がほぼ終息したことから元従業員に個別に連絡して呼び戻そうとしても、断られているのが現状です。

 それに円安と物価高のため、給料が安い職種、特に飲食業で働く方はとても少なくなっています。

 経済活動がコロナ禍になる前の状況に戻り、上京して働く方が増えないと賃貸住宅に対する需要は増えません。企業の生産性が向上し、給与水準が増えなければ賃貸物件に対する入居希望者は増えません。

 賃貸物件におけるほとんどの空室が満室になるにはこれから数年以上を要するかもしれません。