熊出没、郊外や地方都市の収益用戸建に影響するか?

 ご承知のとおり、市街地に野生の熊が出没したという事案が連日報道されています。死傷者が激増しているようであり、今年だけでも被害者が100名を超えています。熊の駆除が行われていますが、駆除した旨が報道されると、市町村役場に「熊を殺すな」という苦情電話が殺到するとのことです。

 里山が減少したから市街地に現れやすくなったとする見解があります。しかし、特に東日本では個体数が急増しており、これに伴い市街地に現れやすくなったとする見解があります。

 出没しやすくなった原因は、明確ではないようです。地方都市や郊外に住まわれている方におかれては、深刻な問題になりつつあります。

収益用不動産(賃貸用戸建住宅)への影響

 不動産投資家の中には地方都市や郊外にある中古戸建住宅を買い入れ、DIYによるリフォームをしている方がいらっしゃいます。このような方においては熊に限らず野生動物の頻出は死活問題になります。

 熊の出没頻度が増えると賃貸住宅から退去する方が増えます。万が一、敷地内や建物内に熊が侵入し、入居者が負傷する事故が発生したら、賃借人はほぼ間違いなく退去します。さらに次の入居者はなかなか決まらないことが確実です。

 野生動物等による死亡事故が発生すると、遺族がオーナー様に損害賠償請求訴訟を提起する可能性があります。賃貸借契約では、賃貸人は賃借人が安全に生活できることを保証しなければなりません。熊などの野生動物により賃借人が死傷すると、「賃貸人は安全配慮義務を履行していなかったから事故が発生した」として、訴因になることがあります。

 報道では主に熊が取り上げられています。しかし、鹿、イノシシ、猿の出没による被害も問題です。その他にはスズメバチや蛇による被害もあります。

 地方都市や郊外にある中古戸建住宅は比較的安価で購入できますが、野生動物や昆虫による相応のリスクがあります。地方都市や郊外にある中古戸建住宅を活用した収益用不動産の運用は、今後はかなり難しくなることが想定されます。