賃貸マンション、アパート家賃の決め方

賃貸物件を借りたいとお考えの方が、有力な候補となる物件をインターネットで確認したとします。また、不動産会社に赴き、相談したところ物件の紹介図面を渡されたとします。その地域に居住していたことがなければ、図面に記載されている賃料が妥当なのか、判断できないことがあります。

また、収益用不動産をお探しの方が新築、または全室空室の賃貸マンションの購入を勧められたとします。紹介図面に掲載されている想定賃料が妥当なのか、わからないことがあります。

今日は、賃貸マンションやアパートにおける家賃の相場を調べる方法について書きます。あくまでも、東京都および神奈川県の東部における、築年数8~30年程度の物件に該当する内容になります。

1.賃貸マンション、アパートにおける家賃は部屋の占有面積で決まる
家賃は、部屋の面積で決まります。間取りで決まるのではありません。面積に地域の面積あたりの相場を掛け合わせた金額が、家賃の相場とされます。この「家賃の相場」には、管理費や共益費も含まれます。

部屋の面積は、本来は「居室のみの面積の合計」で決めるべきであるとされています。廊下、キッチン、トイレ、玄関、バスルームの面積は除外するべきであるとされます。

しかし、貸し出されるお部屋の各々について「居室のみの面積」を求めることは実務上、極めて煩雑です。また、入居先を探されている方が入居を決断することを促すために広いバスルームを備えているとか、バス・トイレを別室にしている物件のオーナーは、付加価値があることから賃料を上げて募集してくれることを期待しています。「居室のみの面積」で家賃が決まるとなると、費用をかけて賃借人の利便性を図る意味が無くなることから、オーナーにおいては極めて不合理です。

このため、実務では賃借人が利用できる部分全体の面積を基準として、この面積に地域の単位面積あたりの相場を掛け合わせた金額を「家賃の相場」つまり「適正な家賃の金額」と見做しています。

例えば、私の会社がある東京都目黒区南部の目黒線沿線では、バスルーム付きの部屋の場合における面積あたりの相場は1坪当たり11,000円~12,000円とされています。中央値は11,500円です。

新築の物件、またはペット飼育を認めている物件では家賃を5%程度上乗せしますが、なるべくキリの良い金額になるように千円単位でまとめます。

豪華な設備を付ければ、家賃をかなり高額に設定しても大丈夫であると誤解されている方がいらっしゃいますが、相場の5%程度上乗せするのが限界であると思います。相場からかけ離れた金額を設定した場合、入居を申し込む方がなかなか現れないことになります。

多くの単身者が希望される専有面積は約25㎡です。私の会社がある東京都目黒区南部の目黒線沿線では、この室内面積25㎡の1Kのお部屋の賃料相場は、25㎡×0.3025×11,500円=86,968円となります。このお部屋では87,000円として募集することになります。0.3025は、㎡から坪に変換する際のパラメーターです。

新築、またはペット飼育可の場合は5%上乗せになります。86,968円×1.05=91,316円になりますので
91,000~92,000円で募集することになります。

また、築40年以上を経過した物件では、家賃を多少安く設定しないと入居者がなかなか決まりません。この場合は家賃を少しずつ下げながら募集することになります。先に書いた賃料87,000円のお部屋では85,000円に下げ、その後は82,000円まで下げていくことになります。都心の場合、値下げは最大でも5%程度迄にとどめることが多いです。

ただし、これらの相場は賃貸マンションおよびアパートにおける相場です。戸建住宅の場合は異なりますので後述します。

2.単位面積当たり家賃相場の求め方
お近くの不動産会社にお尋ねいただいても良いのですが、賃貸物件を紹介するポータルサイト(アットホーム、ホームズ、スーモなど)をご覧いただき、面積当たりの金額の平均を求めるのが最も簡単です。

地域により、金額の振れ幅が大きいことがあります。郊外では坂の上、崖下、海沿い、養豚場などの嫌悪施設近くの物件は家賃が低く設定されていることがあります。また、土砂災害警戒区域にある物件は、家賃が極めて安く設定されていることが多いです。これらの物件を除外した上で平均を求めることをお勧めします。

3.戸建住宅の家賃
都心の場合、賃貸用として建築された戸建住宅はとても少ないことから、家賃を高めにしたいというオーナーの意向が加味されます。さらに、賃貸マンションやアパートとは異なり、固定資産税や都市計画税が高額になります。このため、賃貸マンションやアパートの場合に適用される地域の相場より大幅に高額な家賃を設定しているところが多いです。

都心の場合、賃貸マンションやアパートの賃料相場は参考にされる程度であり、その2~4倍の賃料を設定しているところが多くあります。

郊外の場合、土地や家の大きさについてはそれ程気に掛けず「1戸あたり5万円」とか「2台分の駐車場付きの大きな戸建なので7万円」といった決め方をしているところが多いです。賃料には、オーナーの意向が大きく反映されます。