賃貸物件の入居費用を抑える方法

賃貸物件をお探しの方から、入居費用を抑える方法について尋ねられることがあります。入居申し込みの際に値引き交渉を依頼されることがありますが、値引き要求の内容によってはオーナーや不動産会社から入居を断られることがあります。このあたりについて書きます。

本日の投稿は、あくまでも東京を中心とした1都4県(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)の都心寄りに該当する内容になります。賃貸に関する慣習は地域によりかなり異なりますので、地域により該当しない場合があることを予めお断りさせていただきます。

家賃の値引き要求は、ほとんどの場合にNG
家賃は、その物件自体の利回りを確定させる重要な要素です。多くのオーナーは金融機関などから資金の融資を受けて建物を建築し、または購入しています。金融機関等からの融資を返済する原資は家賃です。このため、家賃の値下げを要求しても、断られることが大半です。

管理費、共益費の値引き要求自体はNGのことが多いが、交渉の余地はある
オーナーは、家賃・管理費・共益費を一体のものとして捉えているので、これらに対する値引き要求は、ほとんどの場合に却下されます。

ただし、家賃と共益費の金額の合計を変えず、内訳を変えることについては認めてもらえることがあります。例えば家賃7万2千円、管理費3千円、合計7万5千円のお部屋の場合を考えます。この場合、家賃6万5千円、管理費1万円にしてもらえないかについて、交渉の余地があります。

東京都区内の場合、契約更新の際における更新料は新賃料1か月分相当額なので、家賃の変更がなければ6万5千円になります。更新事務手数料も、この金額を基準として算出した金額になります。契約更新時には合計で8千円以上得することになります。

敷金の値引き要求
敷金ゼロ、または敷金の金額が賃料1か月分の物件では値引き交渉の余地はありません。要求できるのは敷金が賃料2か月分の物件です。

敷金は、退去時において返還するのが原則ですが、未払い賃料がある場合にはこれに充当し、残金を賃借人にお返しすることになります。賃借人の過失により損耗した箇所がある場合は、原状回復する費用に充てる場合があります(あくまでも東京における慣習です)。

ただし、この原状回復への充当は「賃借人の過失」により損耗した部分に対するもののみが認められ、自然損耗部分についてはオーナーが負担することになります。

この敷金ですが、お部屋を大切に使うことを約するにより値引きに応じてもらえることがあります。例えば、タバコを一切吸わない、ペット飼育可の物件でもペットを飼育しない等を申し出ることにより、敷金2か月分のところを1か月分にしてもらえることがあります。

礼金の値引き要求
礼金は、オーナーが収入として得られることを期待しています。また、オーナーが支払う不動産会社への仲介手数料に充当している場合があります。このため「礼金なし」には応じてもらえないことがありますが、半月分への減額は、交渉の余地があります。

ただし、このような交渉は3月中旬以降にならないと応じてもらえないことが多いです。

仲介手数料の値引き要求
仲介手数料は、仲介した不動産会社の報酬です。値引きを迫ると、仲介を拒否される場合があります。お客様は一人だけではありません。他にも多くのお客様がいます。気に入った物件があっても仲介を拒否され、その間に他のお客様がこの物件に入居を申し込むことがあります。

入居後に何らかのトラブルに遭遇した場合、仲介した不動産会社と相談して解決する必要が生じることがあります。このような場合を考えると、仲介手数料の値引き要求は得策ではありません。

ハウスクリーニング代
賃貸借契約書の中に、ハウスクリーニングに関する特約を入れることを求められることがあります。この場合、クリーニングは退去時に行うことと、清掃業者は自分が手配することについて、交渉する余地があります。

不動産会社や管理会社の中には、ハウスクリーニング代として徴収した金額からリベートを中抜きするところがあります。このため、清掃業者の手配を賃借人が行うことをなかなか認めてくれない場合がありますが、交渉の余地は十分にあります。