偽造の収入証明、従業員証明書、住民票等を提出することは犯罪です

2022年9月17日

 現在、賃貸物件の大半は、賃貸保証会社(家賃保証会社)と入居希望者との間に保証契約を締結できることを入居の条件としています。令和2年4月に施行された改正民法により、この運用が通常のルールになっています。

2022年9月17日追記: 

 連帯保証人になろうとする方には極度額の告知が必要になりました。しかし、告知すると連帯保証人の引き受けを拒否する方が多く、連帯保証人になる方がなかなか見つかりません。 

 さらに賃貸保証会社では入居希望者の資産および収入状況を調査(個人信用情報機関に照会)し、問題がない方としか保証契約を締結しません。これらの理由により、オーナー様の多くは賃貸保証会社と賃借人との間の保証契約の締結を入居条件としており、連帯保証人を立てることは必須条件としない扱いをしています。

 賃貸保証会社(家賃保証会社)では、過去の家賃滞納歴、クレジットカードの引き落としに関する履歴、各種ローンの履歴をチェックしています。これらのデータは、滞納が発生した管理会社または金融機関が加盟している個人信用情報機関に登録されています。賃貸保証会社(家賃保証会社)では、自社が加盟する個人信用情報機関に登録されているデータを参照することが出来ます。

 個人信用情報機関は複数あります。複数の機関同士でデータのやりとりをしているかは公開されていませんが、家賃の滞納歴がある方(賃貸保証会社が代位弁済をしたことがある方)については、保証契約の引き受けが認められないことが大半です。

 つまり、過去に家賃を滞納したり、クレジットカード利用額の返済を怠った履歴がある方は賃貸物件の入居が認められない場合が多いです。

 このため、保証契約の引き受けが不可になった方の中には偽造した収入証明書(源泉徴収票等)、身分証明書(運転免許証等)、従業員証、住民票等を提出し、入居審査を通過することを考える方がいます。また、これらの書類の偽造を請け負う印刷所があります。ネットで検索すると、何件かヒットします。

 偽造された書類が不動産会社に提出され、過去の家賃滞納履歴が見当たらない場合は賃貸保証会社(家賃保証会社)の審査をパスし、入居が認められることが稀にあります。

 しかし、この方が入居後に家賃を滞納した場合、賃貸保証会社(家賃保証会社)は提出された書類を徹底的に精査します。そして民事上および刑事上の責任を追及します。

 偽造した書類を提出して入居したことが判明した場合は、有印公文書または有印私文書の偽造・行使、オーナー様に対する詐欺行為(部屋のカギを交付させたこと)が行われたとして警察に告訴されます。

 これらの事案が発生しても、報道されることがほとんどないので知らない方が多いのですが、一連の行為が立件された場合の罪状はとても重く、多くの場合に懲役刑、それも執行猶予のない「実刑」が科されることがよくあります。

  偽造した収入証明書(源泉徴収票等)、身分証明書(運転免許証等)、従業員証、住民票等の提出は犯罪です。不動産会社に提出した時点で有印公文書、有印私文書の偽造および行使未遂、オーナー様に対する詐欺の未遂罪に問われる恐れがあります。

 偽造した収入証明書(源泉徴収票等)、身分証明書(運転免許証等)、従業員証、住民票等を提出する行為は、いわゆる万引き等とは比較できない程に罪状が重いです。判明した場合、不動産会社としては警察に通報するしかありません。

 これらの書類を偽造して入居審査を通過させることは、絶対に考えないでください。