現在、都心の土地価格は路線価だけでは査定できなくなっています
土地付き中古戸建住宅、または土地を売却するために不動産会社と相談し、商談が始まると不動産会社から査定価格を告げられます。この査定価格に疑問が生じた場合、国税庁が作成して公表している路線価図から算出される金額と比較するのが良いと言われていることについては、ご存じの方が多いと思います。
国土交通省の路線価図はこちらから参照出来ます。
路線価による土地価格の査定
1平方メートル当たりの価格が千円単位で表記されています。価格を知りたい土地の面積に、路線価を掛け合わせ、これを0.8で割り、1.1~1.2倍することにより市場流通価格、いわゆる相場になると言われています。
例えば土地の前面道路に「500C」と記載されている場合、その土地の路線価は1平方メートル当たり50万円になります。土地の面積が100平方メートルの場合、
50(万円)×100(平方メートル)÷0.8×1.1=6,875(万円)
50(万円)×100(平方メートル)÷0.8×1.2=7,500(万円)
中間を取ると7,187.5(万円)となります。
都心の一部地域では、路線価から市場流通価格を求めることが困難
ご承知の通り、コロナ禍が続いており、飲食店や小売店が壊滅的な被害を受けています。このため、安定的な収入を確保できるとして賃貸アパートや賃貸マンション経営を始める投資家が増えています。そして投資家に売り込む目的で、賃貸アパートおよび賃貸マンションの建設ラッシュが進行しています。
また、リモートワークを充実させる目的により部屋数が多い戸建住宅を求める方が増えています。
これらの理由により、都心の住宅地では上述した計算方法により計算される価格で土地が取引されることは少なくなっています。東京都内の一部地域では、この計算方法では市場流通価格を求めることができなくなっています。
例えば、上述した「500C」の土地が目黒区または世田谷区内にあり、最寄り駅から徒歩10分以内の住宅地である場合は、9,500万円前後(2021年6月時点)において取引されることが通常です。
なお、土地の造成、擁壁設置などの工事が必要な場合は、その工事費用相当額が差し引かれます。また、土地の形が良くない(地形が良くない)土地、敷地延長型の旗竿地等では減額されます。
都心では、いわゆる「面大減価」の原則は通用しない
ある程度の広さがある、マンションを建設できる土地は価格が急上昇しています。
広い土地は購入できる方が限られることから、単位面積当たりの土地価格を低く査定することが通常です。これを「面大減価」と言います。しかし、都心では用途地域の定め、条例などによる高さ制限等のため、中層の分譲マンションを建設できる土地の価格は極めて高額になっています。
都心における5階~15階程度、部屋数が数十戸以上の中高層の分譲マンションを建設できる土地は価格査定の枠を超え、いわゆる「入札」により取引されています。いわゆる「面大減価」の原則は通用しません。
厳格な査定をしてもらいたい場合は、地元の売買専門の不動産会社へ
土地の価格動向に精通しているのは、その土地の所在地近くにある売買専門の不動産会社です。過去(2~3年前)における近隣の土地に関する売却事例は全く参考になりません。また、前述したとおり、都心では路線価から計算する方法を適用できないことが増えています。
間違えても、いわゆる「査定サイト」に査定を依頼することは決してお勧めしません。その理由はこのブログの過去記事を参照願います。
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