郊外における安い土地の売却話は要注意

郊外の土地に関する儲け話
 主に郊外の話になりますが、戸建住宅100~300棟を建設できる広大な土地が安く売られていることがあります。多くは「内緒の売却話」として不動産業者に持ち込まれます。

 売却される理由の多くは不動産業者が開発に着手したものの、造成などに要する費用が想定外に膨れ上がり、開発を途中で断念したことによるものです。山林の開発許可を取得して樹木を伐採して造成し、道路を開通させ、擁壁を構築し、電気及び上水道を通す費用は莫大です。

 資金ショートによる「内緒の売却話」であることから、ほとんどは「現状有姿」を条件としての売却になります。土地が平坦で、区画割りがされている場合でも擁壁工事が中途半端で投げ出されていたり、道路が舗装されていない、電気や水道が通じていない、携帯電話の電波が届かない等の問題があります。

 このような土地の場合、開発を継続するためには多額の費用を要します。さらに、最も大きな問題は水道です。上水道の供給能力を理由として、地元の水道局が上水道の敷設を断ることがありますし、敷設が認められても工事費用は莫大です。

 交通が至便であり、諸問題を解決できることが確実であり、かつ価格が安価でなければ、不動産会社といえども購入することは滅多にありません。

 このような土地の購入は不動産会社でも購入をためらうので、不動産会社の中には「購入して造成工事の続きを行えば大きく儲けられる」として一般の投資家に購入を勧めることがあります。

 購入を勧められた際に高額な費用が発生することを理由として断っても、「これだけ安い土地が売りに出されることは少ないのでお買い得である」とか「とりあえず土地を購入し、工事は資金に余裕がある時に行えば良い」などのセールストークを用いて購入を勧めます。

 しかし、造成費用の概算を見積もりした場合でも、多くの場合に想定外の費用が発生して膨れ上がります。不動産会社といえども滅多に購入しない理由はこれです。

 販売手法は、いわゆる「原野商法」に似ています。このような販売方法で土地の購入を迫る不動産会社は悪徳不動産会社なので、騙されないようにしてください。

造成工事が不十分なことが原因で人が死傷した場合には、損害賠償を請求され、刑法で処罰されることがある
 広大な安い土地を購入したものの、擁壁工事が不十分なことから擁壁の下を通行していた人が崖崩れで死傷した等の場合には、民法の「工作物設置責任」の規定(民法第717条第1項)により、損害賠償を請求されることになります。

 不動産会社に「とりあえず土地を購入し、工事は資金に余裕がある時に行えば良い」と言われたことから件の土地を購入した場合でも、「工事を先送りにしたことから事故が発生した」として損害賠償を求める裁判を提起されると、多くの場合に損害を賠償しなければならなくなります。
 
 また、刑事責任を負う可能性があります。業務上過失致死傷罪、重過失致死傷罪または過失致死傷罪(刑法第209条~第211条)に問われることがあり、特に重過失致死罪が適用された場合には5年以下の懲役刑または禁固刑、あるいは100万円以下の罰金に処せられることになります。

 「自分は不動産会社に勧められた土地を購入しただけであり、責任は最初に造成した会社にある」と主張しても、民法は「事故発生時の占有者、所有者」が責任を負うことを規定していることから、損害賠償責任を免れることは出来ません。

 不動産業界とは無縁の方が、収益物件としてこのような土地の購入を勧められた場合にはキッパリとお断りするのが賢明です。