売主が非公開での売却を希望しているのにネットに公開される物件が増加(その2)

※一昨日投稿した内容の続きです。

 居住用(実需用)の土地や中古戸建住宅、分譲区分マンションを探されているお客様に対し、非公開物件をお客様に紹介しても、2~3日後にお客様から「この物件はポータルサイトに公開されてしまったので、他の物件を探してください。」と言われることが増えています。

 「良い物件は非公開物件の中にしか存在しない」という、誤った「迷信」が強く社会に流布されていることを象徴しています。

 大手、中小を問わず、不動産会社の営業担当には厳しいノルマが課されています。仲介手数料を多く稼げない営業担当は解雇されます。このため、土地や戸建住宅、区分マンションの売却を希望するお客様が現れた際には「非公開物件にした方が早く売れる」等の戯れ言を言い、いわゆる「囲い込み」を行い、両手取引に持ち込むことを考える営業担当が数多くいます。

 売却を希望して来店されたお客様には「非公開物件にした方が早く高く売れます。」と言って非公開物件を仕立て上げ、購入を希望したお客様には「良い物件は非公開物件の中にしか存在しません。現在、非公開の物件がありますのでお勧めします。」等と言い、いわゆる「両手取引」に持ちこみ、多額の仲介手数料を得るわけです。

 このような行為は宅建業法違反と言えるのですが、証拠が残りにくいことから大手、中小を問わず行われ続けてきました。結果として「良い物件は非公開物件の中にしか存在しない」という「迷信」が強く社会に流布されてしまいました。

 大手の不動産会社の営業担当の中にもこのような戯れ言をお客様に言い続ける者がいることから、この迷信を信じるお客様はとても多いです。それどころか、この「迷信」が標準化されている感があります。

 コロナ禍になる前は売物件の数が多く、多くの購入希望者がいました。しかし、一昨日の投稿に記載した通り、東京都区内では売物件の数が激減しています。極端な「玉不足」に陥っており、どこの不動産会社も物件情報を求めています。

 このため、売主または売主側の元付業者が「非公開物件」として売り出している物件を、売主または売主側の元付業者の許可を得ることなくアットホームやSUUMO、ホームズなどのポータルサイトに無断掲載する事案が増えています。

 売主または売主側の元付業者は、「非公開物件」として懇意にしている何社かの不動産会社に物件情報を流します。情報を受け取った不動産会社は自社で客付けを試みますが、コロナ禍であることから購入希望者がなかなか現れないことがあります。この場合、さらに別の不動産会社に客付けを依頼することになります。

 初めは数社に対してのみの情報提供であったものが、いつの間にか30社、またはそれ以上の不動産会社に情報が伝えられることがあります。すると、情報を入手した不動産会社のどこかが「非公開物件」を無断でポータルサイトに掲載し、事実上の「公開物件」にしてしまうのです。

 コロナ禍のために売物件の数が激減している現在、非公開物件に限定して物件を探すことはお勧めしません。希望の条件と合致する物件であれば、当該物件が非公開であろうと公開であろうと購入を決断して構わないと思います。

 私の会社では、公開されている物件、非公開の物件に関わりなく、ポータルサイトに掲載されているかを問わず、お客様が希望する条件に合致する物件を紹介するようにしています。「良い物件は非公開物件の中にしか存在しない」というのは迷信であるからです。

 不動産の購入を希望する方が物件の紹介を受け、その後に紹介を受けた物件がポータルサイトで公開されたとしても、気にしないことをお勧めします。