宅建試験の5か月前になりました

 不動産業を開業する(宅地建物取引業の免許を取得する)場合には、従業員の5人に1人以上の割合を満たす人数の宅地建物取引士を置くことが宅地建物取引業法により義務づけられています。

 宅地建物取引士は国家資格であり、この資格を取得するためには宅建試験(宅地建物取引士資格試験)に合格しなければなりません。

 不動産業は一個人でも開業できますが、この場合は開業しようとする方が宅建試験に合格しなければなりません。

 この試験は毎年10月の第3日曜日に実施されます。あくまでも「予定」として、試験実施機関である不動産適正取引推進機構のWEBサイトに受験要項が公開されています。これによると、10月16日(日)に実施されると思われます。

 試験は原則として年1回のみ実施されます。新型コロナウイルス禍のために2020年および2021年は10月および12月の2回に分けて実施されましたが、受験できるのは1回のみです。今年も12月に再試験を実施する可能性があるようですが、まだ確定していないようです。受験できるのは10月または12月のいずれか一方であり、選択することはできないようです。

 最初の受験で合格される方がいらっしゃいますが、10回以上受験しても合格できない方もいらっしゃいます。10回以上受験をしても合格できない方から「家業が不動産会社であることからどうしても合格しなければならないのに合格できない。」とか「お客様対応が受験日に重なった際は試験を欠席してお客様対応を優先するように言われている。勤務先の理解をどうしても得られない。」いう悩みを打ち明けられることがよくあります。

 後段の場合は論外であり、「どうしても合格したいのであれば、転職を検討することもやむを得ないのではないか。」とアドバイスしています。10月は繁忙期ではありませんが、そこそこ忙しくなる時期であり、日曜日に物件の内見を希望される方が多くいらっしゃいます。このため、お客様の内見希望日が宅建試験の試験日と重なることがよくあります。特に従業員の給与体系に「歩合制」を採用している会社では「他の従業員に臨時にお客様対応をさせることが困難である。」として、宅建試験の受験を認めない不動産会社があります。

 前段の場合に勉強の方法を質問すると、「普段は家業を手伝い、物件の内見を希望されるお客様のご案内、物件図面の作成、重要事項説明書および契約書の下書きをしている。忙しいから参考書は読まない。」とか「仕事が忙しくて勉強時間を確保できない。」と言われることが多いです。

 宅建試験の問題の多くは民法、借地借家法、宅地建物取引業法の知識を問うものです。不動産会社における実務を理解していても、それだけで合格できる試験ではありません。最近は民法、借地借家法、建築基準法などをどれだけ理解しているかが合格と不合格の境目であると言えます。このため、参考書の熟読および問題集による勉強は必須です。

 毎年早い時期から勉強を始めたことから息切れし、途中で勉強を投げ出して不合格になる方がいらっしゃいます。しかし、試験の5か月前になりました。人間が集中できるのは1日のうち2~3時間程度であると言われています。どうしても今年の試験で合格したい方はゴールデンウィークが終わり次第、そろそろ勉強を開始して良い時期ではないかと思います。