買ってはいけない収益物件(その7、問題のある賃借人が居住する物件)

昨日の投稿の続きです。

7.契約者以外の者が居住している物件(無断転貸)
賃貸借契約書に記載されている人物と異なる人物が居住している物件があります。無断転貸が行われているかもしれませんので、売主または管理会社に確認する必要があります。

誰が居住者であるかはオーナーにとって重要な問題です。無断転貸はオーナーおよび管理会社による入居審査を無意味にする行為です。

借地借家法は、賃貸人及び賃借人相互の信頼関係が破壊された場合に賃貸人から賃貸借契約を解約できることを定めていますが、無断転貸はこの信頼関係を破壊する行為です。よって、無断転貸が行われた場合にはオーナーによる賃貸借契約の解約が認められます。

連帯保証人に対し、物件が無断転貸されて転借人が家賃を支払わないことによる責任を負担させることは困難です。この場合でも連帯保証人は滞納賃料を支払う義務があります。しかし納得せず、代位弁済(滞納賃料を支払うこと)に応じない連帯保証人が大半であると思います。

連帯保証人に賃料の支払を求めるためには裁判を提起しなければならないことがあります。購入した直後に裁判を提起しなければならない可能性が高い収益物件は、購入しないのが正解です。

8.集会場または道場として使用している住宅用居室がある物件
物件内の一室に対し「自宅としての利用」として賃貸借契約を締結した賃借人が、実際には集会室または道場として使用し、不特定多数が出入りしている物件は問題です。

特に宗教団体の場合にはお香の匂いが立ちこめ、講話等の際に大きな声が聞こえる等のクレームが居住者から寄せられることがあります。これでは他の部屋の賃借人が退去してしまいます。

不特定多数を招き入れる集会室、または道場として利用されることを売主が許容して賃貸借契約が締結されている場合は、この物件を購入することにより、売主および集会場・道場として利用している賃借人との間で交わされている賃貸借契約を承継することになります。

集会場・道場としての利用を許容しておらず、借主が退去に応じない場合は裁判手続きにより退去させることになります。しかし、これが面倒なので物件を売り出していることがあります。

収益に多大な影響を与えることから、このような物件は購入しないのが賢明です。レントロールを確認し、団体名、特に宗教法人名で借りている部屋がある場合には、売主に確認することをお勧めします。

9.民泊に利用されている部屋がある物件
民泊は不特定多数が出入りします。このことが原因なのか、室内設備の故障頻度は、通常の住宅として貸し出す場合よりも高くなりがちです。

また、条例により民泊の開設可能日数に制限を設ける条例を制定している地方自治体が大半ですが、これを厳格に守ると、収益事業としては成立しない地域が多いです。このような地域において現在も民泊を事業として行っているところの大半は、条例を無視して事業を展開していることになります。

問題なのは、条例を無視した状態で民泊事業が営まれていることが保健所や地方自治体に発覚した場合です。賃借人が摘発されるのは当然ですが、オーナーも地方自治体からお叱りを受けることになります。

また、民泊を自由に行える地域でも宿泊者が合鍵を作成し、後日に空き巣として侵入する事件が実際に発生しています。空き巣が侵入し、刃傷沙汰が発生した場合には事故物件になることあります。

民泊に利用されている部屋がある収益物件の購入はお勧めしません。