買ってはいけない収益物件(その6、問題のある賃借人が居住する物件)

収益物件の購入に際し、確認が欠かせないのは問題を発生させる賃借人の有無です。

1.大量のゴミを部屋に持ち込む賃借人がいる物件
いわゆるゴミ屋敷の賃貸マンション、アパート版です。通常の感性ではゴミとしか思えないようなものでも、このような賃借人にとってはお宝なのかもしれません。

近隣の部屋の入居者が退去し、長期間にわたり空室になっていることがあります。ゴミを貯めている賃借人を退去させるとしても、多額の費用を要し、日数もかかります。多くの場合に、このような賃借人は無資力に近いことが多く、ゴミの片付け費用を賃借人に負担させることは困難です。

このような賃借人が存在する原因は、この賃借人がオーナーまたは管理会社の注意を全く聞き入れない方であるか、オーナーが事なかれ主義で賃貸借契約の解約に踏み切らないことにあると思われます。

退去後の清掃も、通常のハウスクリーニングでは対応出来ません。いずれにせよ、このような入居者がいる収益物件の購入は避けるべきです。

2.バルコニーや部屋に野鳥を招き入れる賃借人がいる物件
鳥の糞だらけのフロアがあるとか、特定の一室のバルコニーが糞で汚れていることがあります。入居者が窓を開けてカラスやハトに餌やりをしていることが原因です。

酷い場合は部屋の一室を常時開放し、鳥の餌やり場にしていることがあります。部屋の中は鳥の糞だらけで目も当てられません。

ゴミを部屋に持ち込む賃借人の場合と同様に、このような賃借人が存在する原因は、この賃借人がオーナーまたは管理会社の注意を全く聞き入れないか、オーナーが賃貸借契約の解約に踏み切らないことにあると思われます。

このような部屋があると、同じ建物内の他の賃借人が退去する原因になりますし、購入した直後に賃借人を退去させるために裁判を提起しなければなりません。

このような賃借人が居住している物件の購入は見送るべきです。

3.いわゆる反社会的勢力が入居している物件
建物内に設置されている事務所を反社会的勢力が借り受けている物件があります。その多くは、いわゆる暴対法の成立以前に賃貸借契約が締結された物件であり、賃貸借契約書には反社会的勢力排除条項は規定されていません。

賃貸借契約書に反社会的勢力排除条項が存在しない場合、反社会的勢力であることを理由として退去させることは困難です。反社会的勢力であっても、借地借家法によりオーナー側からの退去要求は厳しく制限されます。

物件価格はとても安く設定されることが多いですが、相応のリスクがあります。家賃をかなり下げないと、一般の入居者は入居したがりません。

部屋の扉にいわゆる「代紋」を掲げている場合はわかりやすいのですが、最近では「代紋」を掲げずに活動拠点としていることが多いので、不動産会社または売主(オーナー)に、反社会的勢力が入居するテナントの有無について尋ねる必要があります。申すまでもなく、このような物件に手を出すべきではありません。

また、反社会的勢力が事務所を借り受けている明確な証拠がなくても、外形的に疑われる場合があります。このような場合も購入を控えるのが賢明です。

4.家賃を長期間滞納している賃借人、およびクレーマーが多い物件
賃料を滞納している賃借人やクレーマーがいることがあります。

滞納が3か月以上続く賃借人は、裁判手続きにより退去をさせることになります。家賃を長期にわたり滞納している賃借人を退去させるには半年~10か月程度を要します。連帯保証人に求償できない場合、この期間の賃料収入は得られません。また、退去後の募集期間においても賃料収入を得られません。

クレーマーは退去させるための手続きが煩雑であり、裁判で争うことになりがちです。退去させるために一年以上を要し、引越代を負担しなければならないことがあります。

このような部屋が2部屋以上あると収益に深刻な影響を及ぼしますので、手を出すべきではありません。

※明日の投稿に続きます。