買ってはいけない収益物件(その5、建物に問題がある物件)

昨日の投稿の続きです。買ってはいけない収益物件はかなりあります。

6.無届け建築物である場合(建築確認申請が行われていない物件)
都内でも無届け建築物が存在します。私が直接確認した物件がありますし、無届け建築物を建てる違法業者が存在します。この業者について以前の投稿を参照願います。

建築確認に関する書類はオーナーが保存しているはずですが、万が一紛失している場合は役所に「記載事項証明書」の発行を請求することにより確認できます。発行してもらえない場合は建物が築古であるか、無届け建築物である可能性があります。

無届け建築物を賃貸アパートまたは賃貸マンションとして運用していることが消防署または市町村役場において発覚した場合、建物の収去(取り壊し)命令が発令される恐れが大です。

「近くに同様の物件が多くあるから大丈夫」とか「借地借家法があるから賃借人を追い出せない」、「建物を取り壊されることはない」等と言って購入を持ちかける悪徳業者があります。

しかし、無届け建築物の摘発は市町村役場の業務に余裕がある時期に一斉に行われることが多いので安心できません。しかも報道されることが少ないことから、収去命令の怖さを知らない方が多いのが実情です。

無届け建築物の存在が発覚した場合には建物の収去命令が躊躇することなく発令され、従わない場合には行政代執行により取り壊され、しかも刑事罰が科されます。強制代執行に要した費用は所有者に請求されます。
私の会社がある目黒区でも、先日、無届け建築物が数件収去されました。

それに無届け建築物の収去命令は、賃借人の賃借権より優先します。「近くに同様の物件が多くあるから大丈夫」、「借地借家法があるから賃借人を追い出せない」、「建物を取り壊されることはない」というのは誤りです。

無届けで建築された収益物件は、絶対に購入するべきではありません。

7.いわゆる”魔”改造をした物件
1階の部屋を全て壊して駐車場にしたとか、屋上に小さな居室を無届けで設けて貸し出している場合が該当します。違法な改造をされた物件では建物の強度が劣っている場合があります。

増改築している物件であっても、建築確認申請が行われている場合には問題ありません。問題なのは増改築に関する建築確認申請が行われていない物件です。

無届けで改築した物件は、無届け建築物として扱われます。違法性が高いことから、将来において売却したくなっても金融機関が融資を承認しないので、買い手がなかなか見つかりません。

”魔”改造については以前の投稿を参照願います。

8.シロアリ被害が著しい物件
水回りの下に木造の部分がある物件において発生します。発生した際には薬剤散布により取り除くことになりますが、根絶は難しく、翌年に再び発生することが多いです。

入居者の印象はとても悪く、退去してしまう原因になります。また、シロアリが発生すると建物の強度が著しく下がります。新耐震の建物でもシロアリが発生した建物の耐震性能は、旧耐震でシロアリが発生していない建物の耐震性能よりも劣ることが多いです。

シロアリの被害が酷い物件は、購入するべきではありません。

9.心理的瑕疵が大きい物件
賃貸マンション内の一室で賃借人が死亡し、「心理的瑕疵あり」とされた場合、その後に部屋を貸す場合は「告知事項あり」として入居者を募集することになります。

心理的瑕疵に関する情報は即時にインターネットに掲載されるので、心理的瑕疵がある物件であることを隠し通すことは無理に近くなっています。

心理的瑕疵が生じた部屋が一室だけの場合、心理的瑕疵のない部屋であれば、入居者は早く決まります。しかし、心理的瑕疵がある部屋が二部屋以上ある物件、および二人以上が死亡した履歴のある物件における空室は、その空室に心理的瑕疵が無くてもなかなか埋まらない傾向があります。

また、心理的瑕疵の内容がマンション名を含めて報道されている場合、一般の方から見た心理的瑕疵はかなり増幅します。このため、心理的瑕疵のない部屋であっても空室が埋まるのに長期間を要します。

心理的瑕疵がある部屋が二部屋以上ある、または二人以上が死亡した履歴がある、あるいは事件が大きく報道されたことがある物件は、安くても購入しないことをお勧めします。

※明日の投稿に続きます。