買ってはいけない収益用不動産(その2)

※前回投稿した内容の続きです。

10.無届けで建築された中古1棟マンションおよびアパート

 建物の建築が禁止されている場所でも建物を建てる不良業者が存在します。このような業者が建築した建物は、価格が安くても購入してはいけません。

 このような物件の購入には事業用ローンを利用できません。このため、不動産に関する知識に乏しく、かつ代金の支払を「現金一括」で行う資産家が騙されて購入するパターンが多いです。

 その後、後で事の重大性に気がつき、安く売り出される物件がありますので要注意です。建築確認申請が行われているか、完成検査を行っているか、そもそも建築禁止の土地ではないかについては購入前に必ず確認する必要があります。

 うっかり購入した後に行政から建物収去命令が発令されたら巨大なマイナス資産を抱えることになります。運営が破綻するだけではなく、全財産を失うことになりかねません。

 あまり報道されないのですが、東京都23区内では建物収去命令および原状回復命令がよく発令されています。 

 建築確認申請を行う前に新築店舗の建築を開始して建物が完成しましたが、その後1か月もしないうちに建物収去命令が発令され、取り壊された事案があります。

 この事案では建設会社が「建築確認申請の書類作成に手間取ったことから申請が遅れただけであり、完成した建物は建築確認申請書類に記載している内容と何ら変わらない。早く建物を完成させたかっただけなので許して欲しい。」と懇願したとのことですが、建物収去命令が容赦なく発令されて取り壊され、更地にした後に全く同じ建物が建てられました。 

 また、新築した戸建住宅のバルコニーを潰して部屋の一部にする改築工事を行い、部屋を広くした物件について原状回復命令が発令されました。 

 この事案では建物のバルコニーが公道に面していたことから改築工事が目立ち、近所の方か通行人が区役所に通報したのではないかと思われます。バルコニーを潰す工事が行われたのは建物が新築された約半年後であったことから「完成検査を受けた後にバルコニーを潰し、部屋を広くすることを建築前から予定していた」と見做されたようです。容積率超過になることから原状回復命令が発令されたようです。

11.いわゆる「青田売り」をしている新築物件

 未着工であり、建築確認申請もしていない状態で新築物件を販売する行為、いわゆる「青田売り」は禁止されています。建築確認申請をしていないにもかかわらず、販売する業者があるので要注意です。

 事業用ローンを利用してこのような物件を購入することはできないので、不動産に関する知識に乏しく、かつ代金の支払を「現金一括」で行う方が騙されて購入することが多いです。

 建築を開始した物件について、後から建築確認申請を行うことは認められません。役所に通報された場合、建物収去命令が発令される恐れが高いです。

 建築確認申請および完成検査を一切行わずに収益用不動産として運用しようとしても、完成した建物の外観が販売図面に記載されている外観と大きく異なる、間取りや部屋数が異なる等のトラブルが生じることが多いだけではなく、そもそも収益用不動産の建築が禁止されている土地であった等の問題が生じることがあります。

 それに長年の間にどこかで無届け建築物であることが役所に把握され、建物収去命令が発令されることがあります。建物収去命令がいつ発令されるかわからない建物を所有し続けることは精神的に大きな負担になります。

 建築確認申請が行われていることが確認できない物件の購入は、絶対に避けるべきです。