収益目的で郊外の戸建住宅を購入する場合は野生動物等に要注意

 このブログでは既に何回か投稿していますが、収益用不動産の購入が増えています。需要が急増したことから都心の収益用不動産(賃貸アパート、賃貸マンション)における価格が高騰化し、利回りはかなり低くなっています。東京都の城南地区にでは、築10~20年程度の賃貸マンションにおける利回りは4.5~5.5%程度の物件が大多数です。

 高利回りの賃貸マンション(1棟もの)を求める場合は郊外の物件になります。東京都内でも多摩エリアの物件になると満室時における想定利回りは6%以上の物件が大半であり、10%を超える物件も散見されます。都心よりも利回りは高めですが、人口が少ないことから需要も少なく、満室で運用することをほとんど期待できない物件があります。

 このため、郊外の戸建住宅を購入して賃貸住宅として運用する方が増えています。埼玉県、千葉県内の木造戸建住宅には500万円未満で購入できる物件があります。これらを購入してリフォームし、貸し出すわけです。

 ところが、リフォーム後に入居者を募集して貸したところ、賃借人から「イタチ、イノシシ、ハクビシン、ニホンザル、ヘビ、スズメバチ等が頻繁に現れ、どうしようもない」というクレームが発生した事案があります。

 仲介した不動産会社が作成した重要事項説明書には野生動物および害虫に関する内容が一切書かれておらず、この点に関する説明も一切ありませんでした。件の不動産会社によると、「付近一帯において野生動物が頻繁に出現することは日常において当然であり、特に注意喚起するほどの内容ではないと考えた。このため、重要事項説明から省いた。」とのことでした。

 しかし、この戸建住宅を購入するオーナー様、入居者のいずれもこのエリアに居住したことがなく、野生動物のことを全く考えていなかったためにトラブルに遭遇したわけです。

 このような物件では入居者が早期に退去します。収益用不動産として運用するためには害獣対策を含めたリフォームを行う必要がありますので、通常のリフォームの場合よりも費用を多く要します。

 購入するか否かを判断する際は建物内部を確認し、必要に応じ野生動物の出没状況を付近の住民に確認することをお勧めします。

屋根裏、床下の確認は必須

 まず、天井にシミがないかを確認します。次に建物の屋根裏および床下を必ず確認します。排泄物の臭い、動物の糞、体毛、食べかすがないかを確認します。

 異常がある場合はネズミやアライグマ、イタチなどが住み着いている恐れがあります。木造住宅の場合、柱や梁がかじられている場合があり、補修が必要になることがあります。

 対策としては床下部分に設けられている開口部、換気口などを網で封鎖する、壁と天井との間に隙間がある場合は遮断する、雨樋がある場合はここを伝わって動物が天井に侵入できないように「返し」を設ける等があります。 

いわゆる「里山」のエリアは要注意

 山間部の野生動物が麓に降り、餌探しをするエリアは要注意です。いわゆる「里山」、またはその近くにある戸建住宅はニホンザル、イノシシ、熊などの凶暴な野生動物に狙われる恐れがあるので、状況により購入を控えるのが賢明です。

 野生動物が食べ物を探すために家の扉を壊して内部に侵入することがあります。万が一人と遭遇すると凶暴性を発揮し、襲われて大怪我をすることがあります。

 里山のエリアにある戸建住宅の購入を検討する場合は付近の住民から野生動物の出現頻度、被害状況を確認することを強くお勧めします。