買ってはいけない収益物件(その4、建物に問題がある物件)

2020年12月10日

建物に大きな問題があることから購入してはいけない収益物件があります。

1.共有部分の状態が適切ではない物件
1-1.オートロックやエレベーターが正常に動作しない物件
オートロックのドアが常時開いているとか、エレベーターの揺れ方がおかしい等の場合は要注意です。オーナーが不具合を知りながら放置している物件であることが多いです。

オートロックが開いている場合、引越などの理由により解放していることがあります。しかし、常時開放している場合は、故障によりドアの開閉ができないのかもしれません。オーナーへの確認が必要です。

購入後に専門業者に点検してもらうと、多額の修理費を要する旨を告げられることが多いです。特にエレベーターの場合は修理に1,000万円以上を要することが珍しくありません。

必ず内見し、不具合が確認された場合は購入しないのが賢明です。

1-2.鉄製の外階段がある場合に、錆が酷い物件
古い賃貸アパートの場合に多いのですが錆が酷く見られ、とても危険な状態と言えるほどに腐食が進行した外階段を放置している物件が散見されます。

定期的に塗装していれば腐食することはあまりありません。腐食の原因は、オーナーにおいて資金を出し渋っているため、適切な管理が行われていないからであると推定できます。

2.大規模修繕が適切に実施されていない物件
コンクリートの壁面が一部剥離している、外壁のタイルが剥がれている等の物件は要注意です。壁材やタイルが剥離して落下し、通行人に当たったことから死傷させた場合には、建物のオーナーは高額な損害賠償を請求されることになります。

このような物件は、大規模修繕を適切に行っていない恐れがあります。築年数がある程度経過しているのに大規模修繕の履歴がない、または履歴に関する書類が保存されていない物件は購入するべきではありません。

3.外壁や柱、梁、基礎に大きなクラック(ひび)が入っている物件
外壁や柱、梁、基礎に大きなクラック(ひび)が入っていないかを確認します。コンクリートは温度差により収縮することから、ほとんどの物件において長年の間にクラックが入ります。

しかし、内部の鉄筋が腐食していなければ、発見する度に適切な補修を行うことにより強度は保たれます。クラックがある建物の耐久性は、専門業者に調査を依頼して確認するのが適切です。

一般論になりますが、幅0.3mmを超える大きなクラック幅が確認される物件の購入は控えるべきです。

4.建物の内部が適切に管理されていない物件
4-1.故障した設備を放置している物件
空室がある場合には、必ず内見させてもらうべきです。
電気コンロおよびエアコンが故障して動作しない、バルコニーのガラス扉を施錠できない、洋式便器の便座が破損し便器から外れている、等の場合は、オーナーの管理が不適切な物件であると考えられます。

私の経験ですが、ここに記載した内容が、空室の一室において全て該当する物件に遭遇したことがあります。オーナーに修繕の要望を出しても、オーナーが何もしないので退去したものと思われます。

このような部屋があった場合は他の部屋も推して知るべしであり、賃貸管理が極めて不適切な物件であると考えて間違いありません。

このような物件を購入すると、入居者がオーナーが変わったことを知った時点で、設備の交換及び修繕の要望が殺到します。このような物件の購入は見送るべきです。

4-2.設備を危険な方法で設置している物件
本来は室外に設置するべき給湯器が居室内に設置されている物件に遭遇したことがあります。安く納入する業者に発注し、無資格者が不適切な機種を不適切な方法で取り付けたのでしょう。

オーナー側の不動産会社、または管理会社が必ず指摘しているはずですが、オーナーは無視しているのでしょう。直さずに賃借人を居住させているオーナーの感性が疑われます。

他の部屋でも、不適切な給湯器が危険な方法で取り付けられている可能性がとても高く、いずれは一酸化炭素中毒等による事故が発生する懸念があります。賃借人が死傷した場合には損害賠償請求をされます。

このような物件の購入は控えるべきです。

5.屋上の維持管理が適切でないために雨漏りが生じている物件
陸屋根の建物の場合、可能であれば屋上の状況を確認します。なお、屋上からの飛び降り自殺防止の観点から、屋上部分には容易に行けないように設計している建物があります。

屋上のウレタン塗装、防水シート、樹脂塗料、アスファルトの状況を確認することをお勧めします。台風などの強風時に飛来物が衝突し、防水塗装やシートが破れていることがあります。これが破れると、下の部屋で雨漏りが発生する原因になります。問題なのは、破れている箇所がわからないことがあることです。雨漏りがするのにどこを直したら良いのかが、専門業者でもわからないことが稀にあります。

木造の賃貸アパートの場合で屋根瓦がある場合は、破損している瓦がないかを確認します。破損している瓦がある場合は、直下の部屋で雨漏りします。小さな雨漏りであれば容易に修繕できることが多いですが、雨漏りの程度が酷い場合は多額の修理費が必要です。柱や梁の傷みが酷い場合は、建て替えを勧められることがあります。 

雨漏りが発生している場合は、売主の責任および負担で修理し、契約時期は買主において雨漏りがしないことが確認できた後にするべきです。断られた場合は減額の請求をするのではなく、購入を控えるべきです。専門業者より「雨漏りの発生箇所は不明」、あるいか「修理不能」と告げられていることがあるからです。

※明日の投稿に続きます。