買ってはいけない収益物件(その3、土地の立地に問題がある物件)

昨日の投稿の続きです。土地の性質に問題がある物件の例は他にもありますが、長くなりますので割愛します。本日は、土地の立地に問題があるため、購入するべきではない収益物件について書きます。

これらの物件では入居者が比較的早期に退去してしまう傾向があり、さらに退去後の空室期間が長期になることが多いです。

1.騒音が酷い立地の物件
近くに工場や作業所がある物件が該当します。常に騒音が発生している状況であればわかりやすいのですが、平日の日中だけ騒音がするとか、騒音の発生する時間が深夜である物件があります。

空港や航空基地の近くにある物件も要注意です。特に航空基地の中には、普段は航空機の離着陸回数が少ないものの、大規模災害が発生した、国際関係が緊張した等の際に航空機の離着陸が増え、騒音が酷くなる物件があります。

鉄道の踏切近く、線路際、高速道路の道路沿いにある物件も注意が必要です。注意する必要があるのは音と臭いです。音については、防音措置が施されていれば問題はあまりないと思います。しかし、高速道路の道路沿いにある物件では排気ガスの臭いがし、長い間には煤煙で建物が汚れます。鉄道の踏切や線路際は騒音および振動が酷いことがよくあります。

これらの物件は価格が安く、表面利回りが高いものが多いですが、入居者が退去しやすく、空室が生じた場合になかなか入居者が決まりませんので、収益物件としては不適です。

購入候補の収益物件がある場合、現地に1回行くだけではなく、曜日や時間帯を変えて何回か行き、確認する必要があります。

2.大通りの交差点に近く、かつこの交差点が谷底にある立地の物件
無風の際に自動車の排気ガスが溜まりがちになります。洗濯物が煤だらけになるのでバルコニーに干せません。窓を開ければ排気ガスの臭いに悩まされます。

該当する収益物件は、私の会社の近くにもあります。賃料を相場の3割程度安くしているのに、ほとんどの方が2年間の契約期間満了時、またはそれ以前に退去してしまうそうです。入居者から「深夜も自動車の騒音や振動が酷く、気になって眠れない」とのクレームがよくあるとのことです。

3.墓地、葬祭場が近くにある物件
収益物件の前をが葬祭場に向かう葬列者や霊柩車が毎日行き交う立地では、全室を満室にすることはかなり難しいです。

隣地が墓地や葬祭場である物件も同様です。バルコニーからの眺望が全てお墓であるという物件に遭遇したことがありますが、家賃を相当に下げないと入居者は決まりません。価格が安くても収益物件としては大問題なので、購入してはいけません。

特にお子様は、墓地があると大変に嫌悪します。前面道路沿いに墓地がある、またはバルコニーから墓地が見えるファミリー向け賃貸マンションの運営は至難の業であると言えます。

4.反社会的勢力の事務所が近くにある物件
通常の感性をお持ちの方は嫌悪しますので、空室が発生した際に次の入居者が決まるまで長期間を要することが多いです。

反社会的勢力の事務所が存在するかは不動産会社でも把握しにくいのが現状です。不動産会社ができることは売主への確認です。確実に怪しいと言える状況であれば警察に確認できますが、この程度が限界です。不動産会社といえども個人情報保護法の壁があるため、収集可能な情報には限りがあります。

反社会的勢力の事務所が存在するとの情報が売主から提供された際には、重要事項説明書にその旨を記載します。しかし、存在する事実を売主も不動産会社も知らないことがあります。

この場合、買主は売主に契約不適合責任に基づく代金減額を請求できます。しかし、仲介した不動産会社は悪意でない限り(反社会的勢力の事務所が近くにあることを知っていた事情がない限り)免責されるので、損害賠償を請求することは困難です。

売主が反社会的勢力の事務所が存在する事実を全く知らなかった場合に損害賠償請求が認められるかは微妙であり、裁判を提起して争うことになると思います。

いずれにせよ、空室が発生した際に次の入居者が決まるまで長期間を要する上に、購入後の後始末がとても厄介なので、反社会的勢力の事務所が近くにあることが疑われる物件の購入は避けるのが賢明です。

5.多くの部屋において、眺望が不良である立地の物件
バルコニーから見えるのは隣地に建つ建物の壁だけであるという物件があります。

眺望がこのような状態であるワンルームマンションの内部にいると強い威圧感を感じます。ほとんどの方が2年間の契約期間満了時、またはそれ以前に退去しますし、入居希望者を内見させた場合の心証が良くありません。

家賃を相場よりもかなり安く設定しないと入居者希望者が現れませんので、収益物件としては不適格です。

6.徒歩10分以内のコンビニやスーパーマーケットが1軒も存在しない立地の物件(都区内、大都市近郊)
都区内および大都市近郊では、このような物件に入居される方は少ないです。賃貸アパートやマンションでは、ある程度の利便性が必要です。特に食材の購入が難しい場所は人気がありません。

7.駐車場を確保できない立地の物件(特に郊外)
郊外の場合、どこに行くにも自動車の利用が不可欠です。駐車場を敷地内に確保できなくても近隣の土地を駐車場として借りられるのであれば問題ありませんが、将来的に建物が建つ可能性がある場所では困ります。

「駅近であれば駐車場は不要」とお考えになられる方が多いのですが、この考えが通用するのは都心や大都市の近郊のみです。郊外では駐車場のない住宅は全く考えられず、入居先を検討している方の検討対象から真っ先に外れます。

8.冬季に、前面道路を含めて融雪装置を作動させる必要がある物件(郊外、豪雪地帯)
駐車場に融雪装置を設けないと自動車の入出庫ができない物件があります。前面道路が私道である場合には、私道全部を融雪する必要が生じます。融雪の燃料コストは莫大です。

表面利回りが良好でも融雪コストが莫大であることから、実質利回りはとても低い物件が大半です。購入しないのが賢明です。

※明日の投稿に続きます。