田舎のボロ戸建住宅を収益用戸建住宅に転用する際の注意

 田舎の空き家(戸建住宅)を極めて安く買い入れ、修繕及びリフォームを行い賃貸用戸建住宅にし、高利回りで運用することに成功した事案に関する記事が雑誌やWEBサイトに多く掲載されています。

 投資家の中には田舎を走り回り、空き家を見つけると所有者に個別にアタックして安く購入している方がいらっしゃいます。コロナ禍が長期化し、リモートワークが広く推進されたことから田舎の広い戸建住宅に入居する方が増えました。田舎の古い戸建住宅を安く購入し、リフォームをして賃貸用途に転用すれば立派な収益システムを構築できるとして、多くの方がこの手法で物件を探しています。

 ところが入居者を募集しても誰も入居しない物件、および入居者が決まってもすぐに退去する物件が増えています。ほとんどの場合、物件の選択を誤ったことが原因です。

 以下、買ってはいけない田舎の戸建住宅について説明します。

1.限界集落またはそれに近い物件

 路線バスなどの公共交通機関の利用が全く考えられない集落があります。路線バスがある場合でも停留所まで徒歩30分以上を要し、バスの運行本数も2~3時間に1本、または朝夕に各1便のみの運行というエリアがあります。

 「駐車場がある物件であれば、公共交通機関がなくても車を利用できるので問題ない」と思われるかもしれませんが、食料品や日用品を買うために車で片道1時間以上をかけなければならないエリアや豪雪地帯では生活の不便さを毎日実感することになります。

 限界集落では生活ゴミを捨てるのも一苦労です。車で共同のゴミ集積場に持ち込む必要があり、時間を要します。 

 また、光回線を利用できないエリアが多くあります。このようなエリアはリモートワークに適しません。光回線を利用したい場合は利用希望者が敷設費用を支払う必要があるエリアがあります。

 これらの物件では入居者が決まらないか、決まってもすぐに退去することが多いです。 

2.いわゆる里山の中にあり、野生動物や害虫などが頻繁に現れる地域にある物件

 野生のニホンザル、イノシシ、ヘビ、蜘蛛、スズメバチ、熊などが現れるエリアにある物件は、収益用途に利用しにくいです。特に入居者が都心から来た方である場合、クレームが発生してすぐに退去することがあります。

 ニホンザルやイノシシ、熊の場合は窓ガラスや扉を破り建物内に侵入して荒らすことがあります。入居者が襲われて怪我をした事案は数多くあります。 

 入居者が怪我をした場合、物件のオーナー様が医療費、逸失利益等を請求されることがありますので注意が必要です。 

3.寒冷地で冬に駐車場および前面道路が凍結するエリアにある物件

 駐車場に融雪装置を設置して運用することが必要になります。前面道路が私道である場合は、私道にも融雪装置を設ける必要があります。 

 融雪に使用する灯油代および水道料はかなり高額であり、利回りを大きく低下させる原因になります。

4.土砂災害が発生する恐れがあるエリアにある物件

 裏山が崩落した場合、建物が土砂で流される恐れがある物件があります。土砂災害警戒区域内の物件はかなり安く売られていることがありますが、万が一土砂災害が発生して入居者が死傷した場合はオーナー様が損害賠償責任を負わされることがあります。

 ちなみに重要事項説明の際に土砂災害警戒区域内の物件であることを告知した場合でも、オーナー様が免責されることはありません。

5.海風や山風が頻繁に吹き付けるエリアにある物件

 谷間にある物件に多いのですが、強い風が吹きやすい物件があります。低気圧が通過する度に強風が発生し、風切り音がうるさくて眠れなくなる物件があります。このような物件も入居者が早期に退去しやすいです。

 さらに海風が吹く海沿いのエリアにある物件は建物の傷みが進行しやすく、多額の修繕費を要する物件が多いです。

6.裏山と一緒に購入する必要がある戸建住宅

 戸建住宅の所有者が裏山の所有者でもある場合、一括購入を打診されることがあります。しかし、うっかり一括購入に応じると手痛い目に遭うことがあります。

 裏山に崖があり、崖下に建物があると土砂が崩落した際に多額の損害賠償責任を追及される恐れがあります。

 また、山を購入する場合、入会権(いりあいけん)や湯口権などが設定されていることがあります。台風などで崖崩れや倒木が発生し、入会地に入るための道が塞がれた場合には崖崩れの修復、および倒木の撤去に費用が発生します。崖崩れの修復費用はとてつもなく大きくなることがあり、1億円またはそれ以上になることがよくあります。

 裏山と一括で購入する必要がある戸建住宅の購入は避けることをお勧めします。