非公開の不動産、購入して大丈夫?

 不動産の購入を検討されているお客様から「ネット上で非公開の物件を紹介してほしい」と頼まれることがあります。

 非公開物件にこだわる理由を尋ねると「良い物件は非公開の物件にしかないと聞いた」と言われることが多いです。しかし、非公開物件が必ず良い物件であるとは限らないので要注意です。

 実需用物件(戸建住宅又は区分マンション)が非公開になっていることがあります。この場合における理由の一つは、所有者が近隣の住民に知られずに内緒で転居することを希望しているからです。そして非公開とする理由は、単にそれだけであることがとても多いです。

 また、売主が著名人、またはその相続人である場合も非公開になります。購入する意思がないのに、多くの方が物見遊山のつもりで物件資料を要求し、内見を申し込む恐れがあるからです。

 広大な庭園付の物件では、売買契約の特約に「購入後、最低10年間は庭園の植物が枯れないように管理する。」等の条件が付くことがあります。このような特殊な特約がある物件は一般向けではないので、非公開にすることがあります。

 収益用不動産(1棟マンション、事業用ビル、アパート)では、多くの物件が非公開です。その理由の一つはポータルサイトに掲載すると、当該収益用不動産の賃借人が不安になり、退去する恐れがあるからです。

 また、所有者が法人である場合に物件情報を広く公開すると、当該法人が経営不振に陥っているとの誤解を受けることがあります。このことが理由の二つ目です。

 不動産を売却する際は、売却を依頼された不動産会社が価格査定を行います。ところがその査定価格に納得しない売主様がたまにいらっしゃいます。近隣の相場と比較して正当に査定される価格の2~3割増し、またはそれ以上の価格で売却したいと言われることがあります。

 売主様が査定結果にどうしても納得せず、売却を任された不動産会社が希望価格を受け入れざるを得ないことがあります。この場合、販売開始時は非公開物件として売主様の希望価格を提示し、しばらくしてから値下げを提案することがあります。

 相場の2~3割増し、またはそれ以上の価格を設定してレインズに公開すると、同業他社から白眼視されることがあります。このため、異様に高額な価格を設定する場合、販売開始直後は非公開にすることがあります。販売開始直後の非公開物件は、相場よりかけ離れた異様に高額な価格が設定されていることがとても多いです。

 不動産会社の営業担当から「良い物件は非公開物件の中にしかありません。」と言われた場合は、その不動産会社の利用を避けるのが賢明かもしれません。

 気に入った物件が非公開物件である場合は、販売価格が妥当か、特約の内容、売却理由等をよく確認することをお勧めします。