「良い物件は非公開物件の中にしかない」というのは迷信(住宅売買)

2021年11月6日

 自宅として使用する不動産の購入を希望している方が来店し、希望されるエリア内の物件をいくつか紹介すると、半数以上の方から以下について尋ねられます。

 「これは非公開物件ですか?」

 私の会社では、お客様が希望する探索希望条件を満たす物件であれば、公開されているか否かを問わずご紹介しています。 

 本来、非公開物件とはインターネット上のポータルサイトはもちろん、紙広告に一回も物件の紹介記事が掲載されたことがなく、なおかつレインズ(不動産業者および金融機関のみが閲覧できる不動産情報サイト)にも掲載されていない物件のことを言います。

 居宅用の不動産が非公開になる理由は、概ね以下の通りです。購入希望者において「プラス」となるものはほとんどありませんし、警戒するべき内容がとても多いです。

・売主から内緒で販売活動を行うように依頼された。
・売主と売却に関する媒介契約を締結したばかりで、必要な調査が終わっていない。
・売主が希望する売却価格と市場流通価格との間に大きな差があることから最終的な売却価格が未定。
・売主と媒介契約を締結した不動産会社の営業担当が、両手取引にしたいために物件を公開しない。
・売却の条件として、物件に付随する広大な庭園の維持管理を最低10年行うように求めている。
・いわゆる違法建築物であり、行政による取り壊し命令がいつ発令されてもおかしくない。
・物件が土砂災害警戒区域内にある、または崖上や崖下にある。
・建物の建て替えを行う際は擁壁工事が必須であり、数千万円以上の工事費が必要である。
・売主が、購入希望者のプロフィール(学歴、家族構成等)にこだわる。
・土地の境界線に関する争いがあるが、解決していない。
・市場流通価格の5割増し等の異様に高額な販売価格であるが、売主がこの価格にこだわる。
・売主がコンプライアンス上の問題が生じる条件(契約書、領収書に売買価格の8割相当額のみを記入等)を要求している。
・売主が法令および慣習上認められない条件(契約および決済を先に行い、引き渡し時期は売主の転居先が決まるまで無期限とする等)による引渡しを求める。
・売主に心理的瑕疵(死亡事案)の有無を確認しても回答を拒否する。

 大手の不動産会社における営業担当の中にも、「良い物件は非公開物件の中にしかない」と平然と言う者がとても多いです。この営業担当は、自社が預かる物件を両手取引に持ちこみ、売主および買主の双方から仲介手数料を得たいと思うために言っているのです。

 「良い物件は非公開物件の中にしかない」と思われているお客様が大変に多いです。明らかに「迷信」なのですが、購入希望のお客様に説明しようとすると「大手の不動産会社が言っているのだから間違いない」とか「嘘を言うな」などと言ってお帰りになる方がいらっしゃいます。

 「良い物件は非公開物件の中にしかない」というのは「迷信」であることは、どの不動産会社も知っています。しかし、せっかく不動産会社に来られたお客様がお帰りになられると困るので、「迷信」であっても「そのまま信じさせておこう」という対応になりがちです。

 良い物件を探したい場合は公開、非公開のいずれであるかを問わず探すことをお勧めします。