賃貸物件の入居者募集をする際は、非公開物件にしてはいけません(オーナー様向け)

 昨日の投稿において、売買物件でよく言われる「良い物件は非公開物件の中にしかない」というフレーズは迷信であることを書きました。

 最近、賃貸物件を探しているお客様の中にも「非公開物件のみを紹介して欲しい」と言われる方がいらっしゃいます。正直申し上げると、賃貸物件で非公開とされる物件の中に良い物件はほとんどありません。何らかの問題がある、または一般のお客様向けではないことからオーナー様の了解を得た上で非公開にしていることが大半です。

 ところが、自分の営業成績のことしか考えていない質の良くない営業担当の中にはオーナー様に対し「非公開物件にすれば早く決まります」などと言い、非公開化することにより両手取引に持ちこもうとする者がいます。

 特にこれから賃貸住宅経営を始めようとする方、および賃貸住宅の運営を始めたばかりの方が騙されるようです。くれぐれもご注意ください。

 賃貸物件を非公開物件として募集することは、通常はあり得ません。ほとんどのオーナー様は1日でも早く次の入居者を決めてもらいたいと考えています。非公開物件にすると、物件の存在が一般の方に周知されないことから次の入居者がなかなか決まりません。

 公開する際には、最低でもレインズおよびインターネットポータルサイトへの掲載を依頼するべきです。レインズに掲載することにより、他の不動産会社にも入居者を探して貰えます。物件情報をポータルサイトへ掲載することにより、一般の方にも物件の存在を知ってもらえます。

(※慣習として、レインズに賃貸物件を掲載しない地域がありますが、ここでは除外して考えます。)

 不動産会社ではポータルサイトと契約した上で物件情報を公開するわけですが、掲載料金はそこそこ高額であることから、ありとあらゆるポータルサイトに掲載してくれる不動産会社は少ないです。

 インターネットで物件を探す方は、アットホーム、スーモ、ホームズの三社のポータルサイトに掲載されている物件の全てを参照することが多いので、ここにあげた会社の一つでも掲載することにより効果を期待できます。

 紙媒体の配布を希望されるオーナー様がいらっしゃいます。しかし、最近は集客効果がほとんどないのでお勧めできません。新聞の読者が激減していることから折り込みチラシを配布しても反響はほとんどありません。また、チラシのポスティングは不動産会社に対するクレームが殺到することがよくありますので、オーナー様から依頼があっても引き受けない不動産会社が多いです。

 新聞折り込みチラシの配布に要する金額は高額化しており、配布先を物件近くの最低限のエリアに限定しても1回について30~60万円以上を要します(カラーの場合)。賃貸借契約の成約時に得られる仲介手数料ではまかなえないのでオーナー様に実費を請求することになりますが、その旨、および金額を伝えるとほとんどのオーナー様は「折り込みチラシの配布は不要」と回答されます。

 なお、不動産会社間で配布する物件チラシは比較的安価に作成できることから、不動産会社の判断で作成することがよくあります。

 繰り返しますが、通常の賃貸物件であれば、非公開物件として入居者を募集することはあり得ません。

 なお、どうしても非公開物件として募集するしかないと判断する物件があります。特殊な事例になりますが、これについては明日投稿します。