反社会的勢力、その構成員等の入居を防ぐために(オーナー様向け)

賃貸物件に反社会的勢力が入居したら
 詳しく説明する必要はないかもしれませんが、賃貸物件における他の入居者、および近隣に与える影響はとても大きいです。大声で暴言を吐く、嫌がらせをする等のトラブルが発生しがちであり、他の入居者が退去する原因になります。

 退去後に新たな入居者を募集する際には、同じ物件内に反社会的勢力が入居していることを告知しなければなりません。このため、家賃を大幅に値下げしないと入居者が決まりません。オーナー様としては多額の金銭的損害を被ることになります。

賃貸借契約書に、反社会的勢力排除条項を必ず設ける
 賃貸物件に反社会的勢力、そのの構成員等を入居させてしまうと、後始末が大変です。借地借家法は、オーナー側から賃貸借契約を解約するための要件を厳格に定め、オーナー側から解約する場合は正当事由がなければならないと定めています。

 反社会的勢力、構成員といえども借地借家法による保護を受けられ、オーナーは正当事由がなければ賃貸借契約を解約できません。

 賃貸借契約書の中に反社会的勢力排除条項が特約として記載されている場合は、この特約条項に反する行為が行われたとして正当事由があると見做され、オーナーによる賃貸借契約の解約は有効になります。賃貸借契約書の中に反社会的勢力の排除条項を記載することは必須です。

 万が一、不動産会社から提示された賃貸借契約書(案)に反社会的勢力排除条項が記載されていない場合は、記載する様に依頼してください。

 よくある勘違いは、暴対法が定められていることから賃貸借契約書に反社会的勢力排除条項が特約として記載されていなくても、反社会的勢力であることが明らかになった時点で賃貸借契約をオーナー側から解約できるという理解です。賃貸借契約書において反社会的勢力排除条項が特約として定められていないと、オーナーによる賃貸借契約の解約は認められません。

いわゆる「替え玉」による入居申し込みに注意
 反社会的勢力が賃貸物件に入居する際は、いわゆる「替え玉」を利用し、賃貸借契約を締結することがよくあります。一見するとひ弱そうな若夫婦が入居申込書を提出し、その後に賃貸借契約を締結し、賃貸物件を借りた直後に反社会的勢力の集団と入れ替わる事案がよくあります。

 2020年4月1日に施行された改正民法および関連法により、賃貸保証会社(家賃保証会社)による保証契約の締結を必須とする物件が大半です。このため、賃貸保証会社(家賃保証会社)は入居申込を行った方に対する調査を行いますが、必ずしも完璧ではなく、「替え玉」であることを見抜けない場合があります。

入居希望者の身元確認を怠らない
 入居を希望するとして申し出られた方については住民票の他、運転免許証、住基カード等の写真付きの身分証明書を提示してもらう必要があります。

 どのように考えても入居を希望する物件が、入居申込書を提出した方に釣り合わない広さや家賃である場合は印鑑証明の提出を求め、賃貸借契約書に実印を押印してもらうことが考えられます。

 印鑑証明の提出を拒否した場合は、入居を断るのが賢明な場合があります。このあたりは不動産会社と綿密に打ち合わせを行い、慎重に判断する必要があります。