買ってはいけない収益物件(その8、管理契約に問題がある物件)

昨日の続きです。立地が良く、利回りも良さそうな物件でも、管理契約の内容に問題がある物件があります。注意が必要なのはマスターリース契約およびサブリース契約が締結されている物件と、管理条件付の物件です。

1.マスターリース契約およびサブリース契約が締結されている物件
いわゆる一括借り上げをされている収益物件です。オーナーは管理会社とマスターリース契約を締結します。管理会社はマスターリース契約に則り収益物件の部屋を一括して借り上げ、入居者を募集します。管理会社は入居希望者との間にサブリース契約を締結します。

マスターリース契約を締結すると、入居者の有無にかかわらず管理会社が一括して借り上げている部屋の賃料が管理会社よりオーナーに支払われます。支払われる金額は、近隣における家賃相場の8割程度ですが、空室が生じても一定額の収入を見込めます。

また、家賃の出納、入退去の管理等の管理業務の全般について管理会社が対応しますので、オーナーは管理業務にほとんど関与することなく収入を得られます。オーナーにおいて何らかの本業があり、日常の管理業務を行えない場合は、とても便利なシステムです。

しかし、管理業者の中には悪徳業者が散見されます。管理委託契約の中に「賃貸人は○年毎に大規模修繕工事を必ず行う。工事は管理会社に発注しなければならない」とか「他社に発注する場合は違約金として○○円を支払う」等の一文が入っていることがあります。管理会社が手配する工事業者が提示する価格は一般的な相場の2~4倍に設定されていることがあります。

さらに、契約更新時に家賃を大幅に下げられることがよくあります。購入直後の賃料は近隣相場に近くても、賃貸借契約の更新時期に大幅に下げられます。収益物件を金融機関からの事業用ローンで購入した場合、ローンを返済できなくなります。保有しているだけでマイナスになる状況になることがあります。

このためにオーナー側からマスターリース契約を解約したいと申し出ても、その際には高額な違約金を請求されることがよくあります。解約したくても解約できない状態に追い込まれ、負債が際限なく膨らみます。マスターリース契約の本質は賃貸借契約であり管理業者は賃借人としての保護を受けられます。オーナーが賃貸借契約を一方的に解約することは認められません。

悪徳業者に騙されると、収益物件は最終的に任意売却または競売により売却され、オーナーは全財産をむしり取られ、自己破産に追い込まれて全てが終わるというパターンになります。当然ですが、マスターリース契約の内容をよく確認する必要があります。

確かにマスターリース契約およびサブリース契約が締結されている物件では管理業務にオーナーが関与することが少なくて済むのでとても便利です。しかし、契約の内容を理解せずに締結すると大変な目に遭います。

それに、マスターリース契約およびサブリース契約が締結されている物件では満額賃料および更新料を得ることが出来ません。さらにリフォームや大規模修繕を行う際に、オーナーが工事の内容を決められず、しかも工事費が相場の2倍以上もするのであれば、非常に問題があると言えます。

あくまでも私見ですが、不動産投資の経験が乏しい方はマスターリース契約及びサブリース契約が締結されている収益物件は購入しないのが賢明です。管理会社から言われた事に対し、法根拠を示しながら堂々と反論できるレベルの知識量がないと危険です。

不動産投資の初心者にとっては「買ってはいけない収益物件」の代表格であると思います。

2.管理条件付の物件
多くある管理業務の一部を管理会社に委託している物件です。家賃の出納、入居者からのクレーム受付、定期的な見回りを依頼しているところが多いと思われます。

たまに評判の良くない管理会社があり、善し悪しはネット検索でもある程度わかることが多いです。多いのは入居者からのクレームを放置することです。水道栓の水漏れ、エアコンの故障などの対応を依頼しても、安く解決する業者に依頼したい(管理会社は依頼した工事会社からマージンをもらう)からなのか、すぐに対応しない会社があります。

また、毎月徴収する管理費用が相場を逸脱している場合があります。東京の都心では月家賃の3~6%を管理費として徴収する管理会社が多いです。8%以上の高額な管理費が規定されている場合は、管理の内容を詳細に確認し、高額な管理費に見合った内容の管理が実施されるかを検討する必要があります。

さらに、管理契約を簡単に解約できないことが規定されている物件があります。評判が良くない管理会社が管理しており、しかも違約金が高額である等の理由により簡単に解約できない収益物件は、買っていけない物件であると評価できます。

※明日からは、別の話題について書きます。