新しい賃貸住宅管理業者登録制度が施行(その1)

令和3年6月15日より新制度が施行
今年の6月15日より、賃貸住宅(賃貸アパート、賃貸マンション)を管理する不動産管理業者のうち、管理戸数が200戸以上の業者は国土交通省に管理業者として「登録」しなければならなくなりました。
(賃貸住宅管理業者登録制度)

この登録に際しては「業務管理者」という名称の「資格者」を1名以上置くことが必要であり、「業務管理者」を置かずに200戸以上の賃貸物件を管理することは認められなくなりました。

なお、ここでいう賃貸住宅管理業とは居住者からの要望を受け付け、賃貸住宅の維持保全に向けた活動を実施する業者のことです。家賃、共益費などの出納代行のみを行う事業者、退去後のリフォームを行う工務店等の事業者、エレベ-ターやオートロックの点検修理業者は含まれません。

また、管理業者の登録は令和4年6月14日迄に済ませれば良いとされており、約1年の猶予期間があります。その間に「業務管理者」を設置し、国土交通省に申請書を提出しなければなりません。

問題は「業務管理者」の設置義務
このブログでは過去に何回か取り上げていますが、不動産業者として営業するためには宅地建物取引業の免許を取得しなければなりません。その要件の一つは、専任の宅地建物取引士を従業員5人に1人以上の割合で置くことです。

新しい賃貸管理業登録制度では、宅地建物取引業免許を取得する際における宅地建物取引士の設置義務と同様に、「業務管理者」という有資格者を業者または法人毎にを1名以上置かなければならないことが規定されています。

「業務管理者」は以下の内容を満たす者でなければならないとされています。

業務管理者の要件

①賃貸管理業務に関する2年以上の実務経験があり、令和3年以降に実施される賃貸不動産不動産経営管理士試験に合格して賃貸不動産経営管理士の登録を済ませた方。

②令和2年以前の賃貸不動産経営管理士試験に合格し、賃貸不動産経営管理士の登録を済ませ、令和4年6月14日迄に業務管理者移行講習を受講した方。

③管理業務に関する2年以上の実務経験がある宅地建物取引士で、令和4年6月14日迄に賃貸住宅管理業業務管理者講習を受講した方。

「業務管理者」になるためには、宅地建物取引士または賃貸不動産経営管理士が所定の講習を受講して修了しなければなりません。この講習の受講希望が殺到しており、私も受講を希望しているのですが、受講できるのは、かなり先になるようです。

「業務管理者」に求められる職責
各不動産会社(管理会社)において「業務管理者」に指定された方は、担当する仕事が間違いなく増えます。国土交通省の資料によると、業務管理者が管理及び監督しなければならない事項は、以下の通りです。

業務管理者が管理及び監督しなければならない事項

・管理契約における書面記載事項の明確性、契約条件等の法令への適合性等
・点検・清掃・修繕等の維持保全の実施方法や実施内容の妥当性・法令への適合性等
・家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理の方法や経理処理の妥当性等
・管理受託契約に係る帳簿の備え付け・記録・文書等の管理・保存状況等の妥当性等
・賃貸人への定期報告の内容・方法・頻度等の妥当性等
・個人情報の管理等の方法の妥当性等
・入居者からの苦情の受付・対応方法等の処理方法の妥当性等

賃貸管理を生業とする不動産会社では、しばらくの間、混乱した状況になるのではないかと思います。