新しい賃貸住宅管理業者登録制度が施行(その2)

このブログでは過去にも賃貸住宅管理業法について何回か取り上げていますが。令和3年6月15日に施行される賃貸住宅管理業の新しい登録制度は、昨年4月に行われた改正民法の施行と同じか、それ以上のインパクトを不動産業界に与えるものです。

従来、賃貸管理については、宅地建物取引士等の有資格者がいなくても、誰でも自由に行うことが出来ました。しかし、管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理会社においては「業務管理者」という有資格者を必ず置くことが義務化されました。

昨日の投稿にも書きましたが、業務管理者の要件は以下の通りです。

業務管理者の要件

①賃貸管理業務に関する2年以上の実務経験があり、令和3年以降に実施される賃貸不動産不動産経営管理士試験に合格し、賃貸不動産経営管理士の登録を済ませた方。
今年の試験は11月に予定されていますので、現時点で該当する方はいません。この試験に合格し、登録を済ませると「国家資格としての賃貸不動産経営管理士」と認められ、国土交通省に登録されます。

②令和2年以前の賃貸不動産経営管理士試験に合格し、賃貸不動産経営管理士の登録を済ませ、令和4年6月14日迄に業務管理者移行講習を受講した方。
この講習を受講して修了することにより、賃貸不動産経営管理士の資格は、「国家資格としての賃貸不動産経営管理士」であるとして、国土交通省に記録されます。

③管理業務に関する2年以上の実務経験がある宅地建物取引士で、令和4年6月14日迄に賃貸住宅管理業業務管理者講習を受講した方。
この講習を受講しても、賃貸不動産経営管理士の資格を得ることはできません。

今後、200戸以上の賃貸住宅を管理する場合は、有資格者を必ず置かなければならなくなります。

なお、現時点ではまだ決定していないことがいくつかあります。

まだ決定していない内容
1.賃貸不動産経営管理士が、業務管理者移行講習を受講しなかった場合はどうなるか
現在、賃貸不動産経営管理士の資格を有し、登録を完了している方が、令和4年6月14日迄に業務管理者移行講習を受講し、修了した場合には「国家資格の賃貸不動産経営管理士」になります。受講を終える迄は「一般資格としての賃貸不動産経営管理士」とのことです。

業務管理者移行講習を期限までに修了できない場合は「一般資格としての賃貸不動産経営管理士」のままであり、「国家資格としての賃貸不動産経営管理士」にはなれないとのことです。また、業務管理者になることもできないとのことです。

2.実務経験がないと、「業務管理者」になれない?
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士のいずれの資格もない方は、現時点では賃貸住宅管理業務に2年以上携わらないと業務管理者になれません。

国土交通省では所定の実務講習を受講することにより、2年間の実務経験があるものとして扱うことを検討中とのことですが、詳細は公表されていません。

3.200戸以上の閾値(しきいち)が引き下げられる可能性はあるか
現時点では情報が無いので何とも言えません。

4.今年の宅地建物取引士資格試験(宅建試験)の出題範囲か?
賃貸住宅管理業登録制度の施行は令和3年6月15日ですが、今年の4月の時点では法案が既に成立し、告示されています。試験範囲になる可能性がありますが、現時点では試験範囲に含まれるか否かについては何も公表されていません。