相談されても無理な話(不動産を転売して儲けたい)

 不動産の購入希望者から様々な相談を受けますが、最近多いのは売物件を購入して転売したいという内容の相談です。都心、それも探索エリアを限定し、相場の半値、またはそれ以下の不動産を探して欲しいという内容の相談があります。

 不動産の価格にはエリア毎に定められた相場があります。価格が相場の半値以下の不動産を購入したいといわれても、そのような物件は存在しません。何年待っても相場の半値以下で不動産を売却してくれる方は現れません。

 相談者の一人に目的を尋ねたら「不動産会社に勤めていないのに不動産を転売して儲けた友人がいる。自分も同じように儲けたい。」と言われました。

 しかし、不動産の転売は宅地建物取引業の免許がなければ行えません。免許を取得することなく不動産の転売を行い、利益が出ても短期譲渡の場合は高額の税金が課せられます。それに無免許で不動産を転売したことが発覚した場合は宅地建物取引業法により処罰されます。量刑は重く、3年以下の懲役または300万円以下の罰金刑(併科されることあり)と定められています。

 不動産売買の取引自体を隠したいと思っても、不動産登記簿に反映されるので税務署に必ずチェックされます。また、宅地建物取引業の免許がなければ、どの金融機関も不動産の購入資金を提供しません。

 最近、問題とされている転売ヤーの不動産版です。以上の話をすると「知りませんでした。」と言われる方が多いです。

 ごく稀に、不動産を安値で手放す方がいらっしゃいます。しかし、ほとんどの場合に売り急いでおり、2~3週間前後のローン審査期間を待てません。このため、現金一括で購入する必要があります。さらに特約事項として契約不適合責任の免除が契約書に盛り込まれることが通常です。「安く手放すのだから、何らかの問題が発生しても買主様において対処してください。」ということです。多くの場合、不動産会社でなければ対応困難です。

 また、「地上げ屋を紹介して欲しい」という相談があります。しかし、最近の地上げ屋は最終的な買主を見定めた上で地上げを始めるパターンが多いです。それに多くの地上げ屋は一見の方を相手にしません。

 不動産を転売したい場合は宅地建物取引業の免許を取得し、宅地建物取引業者(不動産会社)を開業することをお勧めします。