相談されても無理な話(朽廃した戸建住宅を貸したい)

 「親が亡くなり、親が居住していた戸建住宅を相続で取得した。自分はこの戸建住宅に住む必要はないので賃貸住宅として貸したい。」という相談がよくあります。

 相続した戸建住宅を訪問すると、手入れが行き届いておらず、設備の故障が放置されていることがよくあります。

 床のフローリング板が腐食してブカブカしている、軽微な雨漏り、給湯器が動かない等は対処の方法があります。しかし、家自体が傾いている、雨漏りの放置による屋根崩落、室内にネズミが現れる、壁に亀裂がある等の場合は対応が困難です。また、ほとんどの家において壁クロスや床の汚れが認められます。

 多くの方は、「現況のままで入居してくれる賃借人を探して欲しい。」と言います。「入居者においてリフォームをして構わないが、リフォーム費は入居者に負担して欲しい。」と言われる方もいらっしゃいます。

 しかし、内部が荒れ放題になっている住宅、およひリフォーム費用が賃借人負担である戸建住宅は、誰も借りません。

 多くの場合、「賃借人を募集するためにはリフォームが必要。リフォーム費用は○○万円。」とお伝えすることになります。リフォーム費用は数百万円を超えることがよくあります。

 全国的に賃貸物件の数が増えているので、リフォーム未了の物件は、家賃を大きく値下げしても入居希望者は現れません。相場より安く貸し出すと、属性が良くない賃借人が入居し、家賃滞納につながることがあります。

 リフォーム費が数百万円を超えると、ほとんどの方が「リフォーム費用を捻出できない。何とかして現状で貸せないか。」と言われます。しかし、物件を借りたいと思う方の目線は意外に高いです。設備の不具合が一箇所でもあると。借主は現れないと考えるべきです。

リフォーム費用を捻出できない場合

 一つの方法は、リフォームローンを利用することです。ただし、賃貸住宅の運営を始めるためのリフォームに対する融資には慎重な金融機関があります。

 二つ目は、DIYで対応することです。柱や梁をシロアリに侵食されている等の場合は工務店の力を借りなければなりません。しかし、問題となる箇所がクロスの貼り替え等の軽微なものであれば、所有者様による対応が可能な場合があります。

 三つ目は、物件の売却です。不動産投資家の中にはDIYで住宅の内外装をリフォームする方がいらっしゃいます。このような方に買い取ってもらうことが考えられます。ただし、更地で売却する場合と比べ、売却価格はかなり安くなることを覚悟する必要があります。

 また、通常の手続により不動産会社を利用して売却することが考えられます。なお、特に東京都23区内では建物を売主様において解体することを強くお勧めします。

 解体しないと一般の買主様はなかなか購入しにくいです。その理由を書くと極めて長くなるので割愛しますが、この傾向は近いうちに大都市の近郊にも広がると思われます。

 解体費用を捻出できない場合は、建売住宅のディベロッパーなどに買い取ってもらうことになると思います。この場合も、更地で売却する場合と比べ、売却価格はかなり安くなることを覚悟する必要があります。

※相続した実家に関する相談がある方は大森不動産にご相談ください。このブログの問合せフォームからも受け付けます。リンクは下にあります。