収益用不動産の小口化投資商品(クラウドファンティング等)は要注意

収益用不動産を小口化し、クラウドファンティングまたは不動産投資信託(J-REIT)による投資を勧誘する業者があります。

東京または横浜で交通の便が良好な中古の収益用ワンルームまたは1Kマンション1部屋は、安い物件でも数百万円以上します。購入して運用しても、入居者が退去した場合には賃料収入を全く得られなくなります。新しい入居者を募集するにはリフォーム費用が発生しますし、入居者を募集してもらう不動産業者に支払う仲介手数料が必要です。

コロナ禍であることから、失業などの理由により入居者が賃料を何ヶ月も続けて滞納する事案が頻発しています。退去させるには裁判手続きしかありませんが、確定判決を得て強制執行を行うまでに6~12か月を要します。裁判には50~80万円以上の費用を要し、退去するまで賃料収入は得られず、その間も管理費や修繕積立金を請求されます。

都心でそれなりの収益性が良好なマンションを1棟購入する場合は、1億円以上の出資が必要になることが大半です。そのような大金を現金一括で支払える方はそれ程多くありません。そうかといって、収益用不動産を購入したことがない方の多くは、事業用ローンを利用した収益用不動産購入には二の足を踏まれると思います。

以上の状況であることから、「出資額に応じて賃料収入を配当する」等と謳い、収益不動産をクラウドファンティングで購入する事業(ソーシャルレンディング)への参加を促す業者があります。

また、不動産の権利を小口化した商品にし、不動産投資信託(J-REIT)による投資を勧誘する業者があります。

これらの業者は「投資の一環である、老後の年金代わりになる、株式や債権を組み合わせて運用しているから元本割れしない」等と説明して勧誘します。また、「最低の投資金額を低く設定しているので、気軽に投資できます。」等のセールストークを用います。

真面目な業者が多い反面、中には無登録または架空の業者があります。初めから金銭を騙し取ることを目的としている業者、新しく申し込んだ方から集めた資金を以前からの会員に配当している自転車操業の業者があります。

ソーシャルレンディングの場合、投資商品の内容および、投資対象になる具体的な不動産用収益物件(名称、所在地)を教えてくれない場合は、その場での投資判断をせず、専門家に確認することをお勧めします。少しでも不安を感じた場合には、取引に応じないことが肝要です。

また、不動産投資信託(J-REIT)は、第二種金融商品取引業の登録を受けている業者でないと勧誘行為が出来ません。この登録を受けていることが確認できない業者からの勧誘はお断りするのが賢明です。

さらに悪質な事案があります。ソーシャルレンディング、または不動産投資信託の勧誘を正規かつ合法的に行い、実績を上げている業者であると偽り、勧誘する業者があります。いわゆる「なりすまし」です。実際に「なりすまし」に騙され、返金を受けられない事案が実際に発生しています。

騙された方は、広い会場で開催されたセミナーに参加した、大手通販サイトでバナー広告を見た、等がきっかけになっているようです。安心させるための仕掛け(というか罠)を用意している業者が存在しますので、騙されないようにご注意ください。