ブログに書きにくい話(家賃を値上げ、または値下げする方法)

 収益用不動産のオーナー様から、「賃借人が支払う家賃を値上げする方法をブログに書いてください。」という要望が届くことがあります。賃借人が家賃の値上げを認めてくれる話術等を期待されているのだと思います。

 また、地元の賃貸マンションにおける入居者から「賃貸借契約を更新する際に家賃の値下げをオーナー様に納得させる方法をブログに書いてください。」という要望もあります。

 このブログの読者は収益用不動産のオーナー様だけではありません。賃貸アパートやマンションに居住されている賃借人の方もいらっしゃいます。家賃の値上げ、または値下げをする方法を同一のブログに掲載することは極めて困難です。

 オーナー様は家賃の値上げ、賃借人は値下げを要望されます。この問題は方法論の問題ではなく、家賃の変更をお願いすることについて正当な理由があるかという点が問題になります。家賃の金額変更が妥当であるかは、当該物件の家賃が近隣の家賃相場に合致するか否かを確認しないと何とも言えません。

 賃借人が勤務先で昇格し、給与収入がアップした場合でも、賃貸借契約の締結時に定めた賃料を上げる理由にはなりません。また、オーナー様が儲かっているように思える場合でも、賃借人が賃料の値下げを要求できる理由にはなりません。

 近隣で再開発事業が行われ、利便性が向上して家賃相場が大きく上がった場合は、家賃値上げの正当事由になります。また、故障したエレベーターの修理費を捻出できないので運用を止めた等の場合は、家賃値下げを要求する正当事由になります。

 賃貸借契約において家賃の金額を定めた以上、上記のような正当な理由がなければ家賃の変更は出来ないのが原則です。

正当事由があると思える場合でも

 最近、資材価格の値上がりが著しく、建物の維持費が高騰化しています。オーナー様におかれては頭が痛くなる問題です。資材価格の高騰化が酷いことは、家賃値上げの正当事由になり得ます。

 なお、正当事由があると思える場合でも家賃の値上げを通告すると従来の金額の家賃を供託されることがあります。場合により裁判を提起されることがあります。

 また、オーナー様と争うのが面倒であると考える賃借人は退去します。退去した場合は次の賃借人を募集しなければならず、そのためにはリフォーム費や仲介手数料等が発生します。ある程度の空室期間が発生し、次の入居者が決まるまでの間は家賃収入がなくなることを覚悟する必要があります。

 現在はコロナ禍を脱しつつありますが、労働者の給与水準が上がってるとは言えません。家賃の値上げをすんなり認めてくれる賃借人ばかりではないことに注意する必要があります。正当事由がある場合でも、家賃を値上げできるとは限らないのが現状です。