土地を購入する際は擁壁に注意

2023年6月13日

中古戸建住宅を購入後、何年か経過してから再建築したいとお考えの方へ

 「価格の安さ」のみに注目して擁壁の上にある中古戸建住宅を購入してしまい、後悔される方がいらっしゃいます。

 擁壁の上にある土地を購入して住宅を建てる場合、または擁壁の上にある中古住宅を購入して取り壊し、住宅を再建築する際は、擁壁の高さと古さに注意が必要です。

 古い擁壁の上にある土地上に建物を再建築する場合は擁壁を壊し、建築確認を受けた上で擁壁の再築が必要になることが多いです。

 擁壁の高さが都道府県または市区町村が定める条例により定められている高さを超える場合は再築する必要があります。

 ちなみに東京都および神奈川県は2mです。なお、宅地造成工事規制区域にあり、盛土で造成された土地では1mを超える高さの擁壁が規制対象とされています。高さ1m以上の古い擁壁の上にある土地に建物を再建築する際には擁壁を壊し、擁壁を再築することが求められます。

 また、土地面積が500㎡以上の場合は、造成の方法が盛土、切り土のいずれであるかを問わず規制対象とされています。

 多くの都道府県において、擁壁の再築には都道府県知事の承認を得る必要があるとされています。

擁壁の上にある土地は安いが建物を再建築する際は多額の費用が発生

 擁壁の再築にはかなりの費用が発生するので、擁壁の上にある土地は安く売られていることが多いです。

 再建築しようとしたら建物の解体、新築費用以外に擁壁の解体、再築に多額の費用が発生することを知り、再建築を断念する方がいらっしゃいます。

 擁壁の解体および構築に要する費用は擁壁の高さ、面積、工法、エリア、依頼先により大きく変わります。高さ2m幅10mの擁壁を解体し、建築確認申請に耐えられる擁壁を再築する費用は100~250万円程度400万円を超える(追記参照)と思われます。なお、高さが3m以上の場合は更に高額な費用を要します。

※2023年6月13日追記:東京または横浜における擁壁の解体費および産業廃棄物処理費は急激に上昇しています。出入りの業者に確認したところ、高さ2m幅10mの擁壁を解体して再築する費用は400万円を超えるようです。

 擁壁の上にある土地は安く査定されます。擁壁の高さ、幅により異なりますが3~10%の減額査定になることが多いです。なお、急峻な崖地や長い擁壁がある、擁壁の高低差がかなりある等の土地では50%以上の減額査定になることがあります。

 擁壁を再築した後も適切な維持および管理を行う必要があります。万が一擁壁にクラックが入る、一部が膨らむ等の異状が発生した場合は直ちに修復工事を行う必要があります。修復工事を怠ると建物が傾く等の二次被害が生じることがあります。

 適切な維持や管理を行うことが難しい方は、価格が安くても擁壁の上にある土地の購入はお勧めしません。