戸建住宅や土地購入、最低敷地面積を定める条例に注意

 戸建住宅や土地を購入する場合、見落としがちなのが地方自治体が定める条例です。通常は、不動産会社が販売図面に注意事項として条例の概要を記載します。また、購入の可否を決定する要因となり得る内容が条例に含まれる場合は、購入時にわれる重要事項説明において説明されます。

 しかし、多くの買主様が意外に見落としがちなのは最低敷地面積です。条例が最低敷地面積を定めている場合、面積が最低敷地面積未満である土地に建物を建築することは認められません。

 条例が制定される前に行われた分筆により生じた最低敷地面積に満たなくなった土地は例外とされることが多いです。しかし、念のために確認が必要です。

最低敷地面積

 用途地域が第一種低層住居専用地域または第二種低層住居専用地域の場合、最低敷地面積が定められていることがよくあります。前述したとおり、土地を分筆して面積が最低敷地面積未満になった土地の上に建物を建てることは認められません。

 ちなみに筆者の会社がある東京都目黒区では条例により多くのエリアにおいて最低敷地面積が60㎡と定められています。狭小な戸建住宅が乱立されることを防ぎ、将来においてスラム化することを防止する目的で定められた条例です。

 また、東京都大田区田園調布一丁目および二丁目における最低敷地面積は165㎡(約49.91坪)です。通常、新築戸建住宅における土地面積は50~80㎡です。条例がなければ戸建住宅を2~3棟建てられますが、条例により認められません。

 都内のファミリー向けマンションは3LDKがメインであり、4LDK以上の物件はとても少ないです。日本では核家族化が進み、広い住宅に対する需要がほとんどなくなったからです。住宅用地についても同様であり、広い土地に対する需要は少なくなっています。

 この最低敷地面積が大きいと、将来においてこの土地を売却する際に買い手がなかなか見つからず、困ることがあります。どうしても売却に要する日数が長くなりがちです。

 購入する候補の物件が所在するエリアに対し、地域の条例が最低敷地面積を定めている場合はその面積が妥当かをよく検討する必要があります。