高級住宅街に賃貸戸建住宅が少ない理由

お客様から、高級住宅街にある賃貸の戸建住宅を探せないかという相談がたまにあります。

東京に限らず、いわゆる高級住宅街では賃貸戸建住宅の数が少なく、探すことはかなり困難です。仮にあったとしても家賃が高額すぎる物件が多いです。賃料の値引きを要求しても、物件数が少ないことからオーナーが強気であり、値下げ要求にはなかなか応じません。高級住宅街において、賃貸戸建住宅に入居することは困難です。

賃貸アパートおよび賃貸マンションではなく、賃貸戸建住宅を希望される方の動機は様々です。
多いのは以下の内容であり、かなりの需要があります。

・上の階や隣室からの騒音や振動が気になる。
・子どもの声が隣に響くと迷惑になる
・ペットの飼育制限がないので大型犬を飼えるし、飼育する頭数の制限がない
・1階に自動車を置ける物件を探せる
・庭が欲しい
・スポーツ選手であり、洗濯物の量が多いので物干しのスペースが欲しい
・マンションやアパートだとインターネットの通信速度が遅いが、高速インターネット回線を利用できる
・通勤・通学時にエレベーターを待ちたくない

確かに賃貸アパートや賃貸マンションよりも快適性は格段に上ですし、アパートやマンションでは不可能であったことが出来るようになります。

しかし、高級住宅街における賃貸戸建住宅は、家賃が格段に高いです。その理由は土地の価格が高額であり、さらにオーナーは高額な固定資産税および都市計画税を毎年支払わなければならないからです。

土地の価格が高額であるとしても、賃料を無限に高くすることはできません。東京の山手線外側にある高級住宅街では、3階建戸建住宅1棟につき設定出来る家賃は月25万円程度が上限です。これより高額な賃料を設定しても、入居希望者を探すことは極めて困難です。

入居審査に合格できるのは、概ね年収1000万円以上の方になります。そのような方は既に自宅を購入されていることが多いです。これだけの賃料の支払能力があり、かつ賃貸物件を探されている方はそれ程多くありません。

1棟の戸建住宅が建つ土地の面積を20坪と仮定します。用途地域や条例による制限が緩い場所を選択することにより、約20坪の土地があれば、4階建ての賃貸ワンルームマンション8部屋以上を建てられます。一部屋当たりの賃料を8万円に設定すれば月収入は64万円以上になります。

賃貸マンションの方が、月収入は格段に多くなります。実際にはマンション建設費は木造の戸建住宅の建設費よりも高額なので、月収入だけは比較できません。しかし、オーナーとしては賃貸アパートやマンションの方が利回りが良いので、保有対象としてはどうしてもそちらを選択しがちです。

高級住宅街には賃貸戸建住宅が少ないのはこのためです。

ちなみに郊外の場合は、土地の取得費が都心よりも安価です。それに加え、広い環境に慣れ親しんだ方が多いので、狭いアパートやマンションは人気がありません。このため、郊外のオーナーは保有対象として賃貸アパート・マンションよりも賃貸戸建住宅を好みます。なお、建築費の関係で3階建よりも平屋や2階建の住宅を好む傾向があるようです。