建物の老朽化により借主に退去を求める場合、転居先が問題になる(オーナー様向け)

※一昨日投稿した内容の続きです。若干補足します。

 昨日の投稿では、建物の老朽化により賃貸借契約を貸主が解約する際は賃貸借契約の契約期間が満了する6か月~1年前に通知する必要があり、さらに立退料の支払いが必要であることを書きました。

 退去をお願いする際は、更に別の問題があります。それは、賃借人の転居先がなかなか見つからない場合があるという問題です。

 入居時には中年であったものの、長年居住していたことから高齢になり年金収入以外の収入がない賃借人が入居していることがあります。また、入居した際は大企業の正社員であったものの、現在は零細企業で契約社員、またはパートタイマーとして働いており、収入が少ない賃借人がいることがあります。

 これらの方は転居先における入居審査を通過出来ないことがあります。退去していただくことがかなり難しいことがあり、転居先を見つけるまでにかなりの日数を要することがあります。

 オーナー様が他の収益用不動産を所有されていて、空室がある場合にはそこに入居していただくことで解決できることがありますが、空室が全くない場合があります。

 この問題は本当に厄介です。物件を管理している管理会社がある場合は、その管理会社から賃貸専門の不動産仲介会社に特別な働きかけをしてもらい、転居先を探してもらうのがお勧めです。その際は転居先となる物件のオーナーに「多めの礼金を渡すので入居させて欲しい」等の交渉をすることになります。また、不動産仲介会社に広告手数料などの名目で「謝礼金」を支払うことが必要になる場合があります。

 しかし、最近は賃貸保証会社の利用を必須としている物件が多くあり、転居先を見つけることが難しくなっています。

 老朽化を理由として建物を建て替える場合は、入居者を退去させるのに1年以上、場合により2年以上を要することがあります。このため、1アパートまたはマンションの建て替えを検討する場合は入居者の退去にかなりの日数を要することを覚悟して臨む必要があります。賃貸借契約の更新時期が到来する6か月~1年前に更新しない旨を伝え、立退料を支払えば済むという問題ではないことに留意する必要があります。