困った相談(その35、ファミリー向け区分マンションを貸したい)

 相談者は都内にあるファミリー向けの区分マンションを住宅ローンを利用して購入し、家族で生活していたところ、勤め先から関西エリアへの転勤を命令されました。転勤する期間は10年を超えることが想定され、その間はファミリー向けマンションに住む人が誰もいなくなります。

 相談内容は「このファミリー向け区分マンションを第三者に貸したいが、注意が必要な内容があれば教えて欲しい」というものです。

 後述しますが、第三者への貸し出しが認められないことがあり、この場合は対応に苦慮することがあります。また、第三者に貸し出す際の賃貸借契約を定期建物賃貸借契約にせずに貸してしまう不動産会社が存在するので注意が必要です。

1.管理規約および使用細則を確認する必要がある

 都区内のマンションの多くは収益用途(つまり賃貸物件として第三者に貸すこと)としての利用を制限しないところが多いですが、自己居住を目的とした利用のみを認め、収益用途での利用を管理規約で禁止しているマンションがあります。

 収益用途での利用を一切禁止している場合は、このマンションを第三者に貸すことは認められません。

 また、収益用途での利用を認める場合でも「居宅」として利用することのみを認め、「事務所」としての利用を禁止しているところがあります。いわゆるSOHOについても禁止の対象とされていることがあります。

2.賃貸物件として貸した場合、入居者の行状に関するクレームが生じることがある

 例えば管理規約または使用細則においてペット飼育の禁止が定められているにもかかわらず、入居者が内緒でペット飼育を始めることがあります。同じ建物内の居住者に知られ、管理組合または管理会社に通報された場合は貸主にクレームが寄せられ、対応を迫られることがあります。

 部屋の借主が夜中に大音量の音楽を流す、大声でわめく等のトラブルを起こした場合も、貸主にクレームが寄せられ、対応を求められることがあります。

 貸主が遠隔地に居住しているために物件所在地に赴くことが困難である場合は、管理会社を指定して貸室の管理(家賃の出納、クレームの受付等)を依頼する必要があります。

3.住宅ローンは事業用ローンに切り替える必要がある

 住宅ローンは自己居住用の住宅を購入する場合のみに利用でき、第三者に貸し出す物件を購入する際には利用できません。転勤が決定した場合は住宅ローンの融資を受けている金融機関に早めに相談し、事業用ローンへの変更手続きを依頼することをお勧めします。

 事業用ローンへの変更を怠り、賃貸物件として第三者を入居させたことが金融機関に知られた場合は「期限の利益」を喪失したものと見做され、残額の一括返済を要求されることになります。

 大半の方は一括返済できるだけの資金の持ち合わせがないので、物件を任意売却、または不動産競売により安く売却されることになります。ほとんどの場合に借金が残り、これについては何年もかけて返済していくことになります。

  事業用ローンへの変更は必須です。

4.転勤が終わった際に元の物件に戻れる手立てを考えておく

 賃貸借契約を普通賃貸借契約にすると、転勤が終わったとしても元の物件において居住することは極めて困難です。借地借家法により、転勤の終了は賃貸借契約を解約できる理由とは認められません。

 このため、賃貸借契約は定期建物賃貸借契約(定期借家契約)とし、契約期間が終了した際に退去を要求できる手立てを講じておくことをお勧めします。

 不動産会社により、「普通賃貸借契約以外は締結しない」とか「定期建物賃貸借契約だと入居者がなかなか決まらないのでお勧めしません」等と言われることがありますが、転勤が終わった際に元の物件に戻れる方法はこれしかありません。不動産会社が定期建物賃貸借契約による入居者募集に難色を示す、または断るようであれば、他の不動産会社に入居者募集を依頼することをお勧めします。