賃貸物件の入居希望者が決まらない場合(オーナー様向け、その2)

昨日の続きです。

4.一般媒介契約で、多くの不動産会社に依頼しすぎると、なかなか決まらない場合が多い

早く満室にしたいということで、近隣にある多くの不動産会社に対し、一般媒介契約による客付けを同時に依頼されるオーナー様がいらっしゃいます。

通常、一般媒介による客付けを依頼された不動産会社は、物件情報をレインズやポータルサイト(アットホーム、ホームズ、スーモなど)に掲載します。新しい入居先を探されているお客様は、ポータルサイトを利用し、探索したい地域にある物件を検索します。

数多くの不動産会社に同時に客付けを依頼すると、ポータルサイトに同じ物件を一斉に掲載します。この場合に、ポータルサイトを見た方はどのような印象を受けるでしょうか。同じポータルサイト上に同一の物件が数多く掲載されていたら、何らかの理由があるために敬遠されている物件ではないかと疑い、警戒します。

一般媒介による客付けを依頼する場合は、不動産会社を2~3社程度に絞ることをお勧めします。多くの不動産会社に依頼すれば早く決まるというのは、ポータルサイトが存在しなかった頃の話です。数社以上の不動産会社に対し、一般媒介契約に基づく客付けを同時に依頼することは逆効果です。

5.空室のリフォームを依頼した工務店に対する支払は、なるべく早く行う

私の知り合いの不動産会社および工務店で発生した事案です。

知り合いの不動産会社が、オーナー様から空室のリフォームおよび設備修理に関する相談を受け、出入りの工務店(ここも私の知り合い)に依頼しました。リフォームが完了し、工務店はオーナー様に代金を請求しました。ところが、「手持ちの資金がないので、新しい入居者が決まるまで支払いを待って欲しい。」と言われたとのことです。

同時に4室の設備修理とリフォームを行い、総額は100万円以上になりました。代金を請求しましたが、空室がなかなか埋まらず、三か月以上を経過しているのに1円も支払って貰えないとのことでした。紹介元の不動産会社に相談しても「待ってあげてよ。」といわれるばかりで対応してくれなかったとのことです。

工務店は、材料の仕入れ代金や職人の日当を支払う必要があります。回収できない売掛金が多くなりすぎると、倒産してしまうことがあります。

紹介した不動産会社も困ります。工務店からの信頼関係が損なわれ、「御社の案件は、今後は受注しない。」と言われてしまいます。

不動産会社としても「このオーナーを工務店に紹介するべきではなかった。」ということになります。「金銭面で信用できない、支払いが遅延するオーナー」として不動産会社に長く記憶され、このオーナー様が所有する賃貸物件の紹介を控える原因になります。

さらに、「支払いが遅延するオーナーの情報」として、近隣の工務店の間において共有されることがあります。情報が共有されると、空室が発生した際にリフォームを行ってくれる工務店が見つからず、入居者の募集を開始できない事態に陥る恐れがあります。

設備修理およびリフォームを依頼した工務店に対する支払は、なるべく早く行うことを強くお勧めします。工務店だけではなく、不動産会社も迷惑を被ることがあり、この場合は入居者募集に支障をきたします。

※明日の投稿に続きます。