買ってはいけない-マイナス収支の収益物件

 このブログでは東京都23区内その近郊にある収益用不動産の利回りが著しく低いことを繰り返し述べています。都心で売られている収益物件の表面利回りは2~3%台のものが増えています。

 このような物件を事業用ローンのみで購入すると必ずマイナス収支になります。せめて半額は自己資金で用意しておかないと、何らかの異変が起きた際に事業用ローンを返済できなくなります。

 最近、金融機関における事業用ローンの審査基準が厳しめになっています。物件の価格、買主の職業、年収によりますが、現在は物件価格の全額に近い金額の融資を受けることが困難になっています。

 「それならばノンバンクがある」と思われる方が多いと思います。しかし利率がかなり高いので、低利回りの収益用不動産を購入するのには不向きです。

 このような状況なので、質の良くない不動産会社営業がローン審査書類を書き換え、融資を引き出させることがあるようです。具体的には年収の水増し、契約社員なのに正社員と記載する等、虚偽内容を記載した申請書を提出するようです。収益用不動産の想定賃料を水増しすることも平然と行われています。

 虚偽の内容を審査書類に記載しなければ事業用ローンが認められない場合、収益用不動産の購入はお勧めしません。特にマイナス収支の物件は購入するべきではありません。後述しますが長い間にいつかは経済的に破綻するからです。

何故、マイナス収支の物件を購入してはいけないのか

 資金力のない方がマイナス収支の収益用不動産を購入した場合、何らかの事態が発生した際に手持ちの資金が足りなくなります。事業用ローンを返済できなくなると、任意売却や不動産競売により収益用不動産を安く売却され、更に借金が残ります。

 事業用ローンを滞納し、弁済できないと信用情報にキズが付きます。するとクレジットカードを利用できなくなります。自動車を購入する際も自動車ローンを利用できなくなります。

 借金があまりにも多額で返済できない場合は破産宣告を受けることがあります。破産宣告を受けると士業などの資格があっても職業として行うことができなくなります。

 マイナス収支の物件は購入しないことを強くお勧めします。収支が毎月必ずマイナスになる物件は、その金額が千円程度でも購入を控えることが賢明です。

どのような場合に手持ちの資金がなくなるか

 高額な設備の故障、空室の複数発生、空室期間の長期化、ライバルとなる物件の登場、家賃滞納者の発生と退去させる為の費用発生等があげられます。

 部屋数の多い1棟マンションでは、給湯器やエアコンがほぼ同時期に一斉に故障し、買い替えなければならないことがあります。エレベーターやオートロックが故障した場合、修理しないことは法的に許されません。

 近隣にライバルとなる物件が新築されることがあります。空室がある場合、ライバルの登場により空室期間が長期化することがあります。

 家賃の滞納者が現れ、支払える見込みがない場合は退去してもらうしかありません。しかし、退去に応じない賃借人はしばしば発生します。裁判手続により退去させることがありますが、この場合の裁判費用は貸主負担になるのが通常です。法律上、貸主は裁判費用等を賃借人に請求できます。しかし、賃借人は無資力であることがほとんどなので、費用は貸主が負担するしかありません。

 上述した突発的な事態はしばしば発生します。手持ちの資金が少ない方は、収益用不動産を無理して購入しないことを強くお勧めします。