SOHO事務所と自宅とを兼用できる物件を借りたい方への対応(オーナー様向け)

 賃貸物件の入居者を募集すると、様々な方から問い合わせがあります。たまにあるのはSOHOの事務所と自宅とを兼用した形で賃貸マンションの一室を借りたいという方です。

 収益用不動産がマンションの区分所有権である場合、管理規約により事業用の利用を認めていない物件があります。この場合は「管理規約によりSOHOとしての利用は出来ない」としてお断りすることになります。

 しかし、1棟マンションの場合には入居の可否をどのように判断するかが問題になります。特に空室期間が長期である貸室を抱えているオーナー様におかれては「誰でも良いので入居させて家賃をもらいたい」と考えていることが多いので、貸主側の不動産会社は悩みます。

賃貸マンションの一室の場合、利用目的に注意

 通常、仕事場を探す方の大半は店舗または事務所を借ります。それにもかかわらず、仕事場として賃貸マンションの一室を借りたいと希望する方には一応警戒することになります。

 SOHOの場合、どのように利用されるかが問題です。入居先を探している方の中には無店舗型性風俗特殊営業または無店舗型電話異性紹介業に利用する場所を探している方がいます。マンション一室の方が事務所や店舗を借りるより安く借りられるので「SOHOに利用したいので自宅兼用として借りたい」として入居を申し込み、無店舗型性風俗特殊営業または無店舗型電話異性紹介業に利用されることがあります。

 このような利用をされると不特定多数の方が部屋を訪れ、夜間も人の出入りが多くなります。すると他の入居者からオーナー様や管理会社にクレームが届きます。

 また、風俗関連業は反社会的勢力と繋がっていることが多いので注意が必要です。繋がっている場合、反社会的勢力の構成員が建物に出入りすることがあります。出入りする構成員の中には強面の者や刺青を入れた者がいるので、他の入居者が次々に退去する原因になります。

 さらに、貸室が反社会的勢力に無断転貸され、反社会的勢力の事務所として利用されることがあります。このようなことになると目も当てられません。

 風俗関連業ではない場合でも入居を認めると、後から「建物に看板を掲出させて欲しい」などの要望が出ることが多いです。断っても無断で掲出されることがあり、トラブルになりがちです。看板が掲出されていると雑居ビルであるとの印象を与えるので、空室における次の入居者を募集する際に悪影響を与えることがあります。

 「SOHOの事務所と自宅とを兼用できる賃貸マンションの一室を借りたい」と言われた場合は、SOHOとして行う事業内容をよく確認する必要があります。事業内容が不明確である、風俗業へ転用される恐れがある、反社会的勢力との繋がりが疑われる等の場合は入居をお断りすることをお勧めします。

 最も注意が必要なのは、SOHOで得られる収入だけで家賃を支払えるかという問題です。他の場所で事業を営み、定期的な収入を得ている実績がある場合でも、収入が家賃の3~4倍程度なければ入居審査はNGにするしかありません。

 現在、多くの賃貸物件において家賃保証会社(賃貸保証会社)の利用が必須とされており、家賃保証会社と賃借人との間で保証契約を締結できることが入居の条件とされています。保証契約が締結されるかの判断基準の一つは収入です。不動産会社を通じて家賃保証会社(賃貸保証会社)による審査を必ず行なうことをお勧めします。